農家と消費者がつながることで、社会的役割は果たせるのか?
先日、去年まで制作協力お手伝いしていた、
「ファーマーズ&キッズフェスタ2012」というイベントに行ってきたので、
そのまとめと、「CSRと農業」についての雑感をまとめます。
僕は常日頃からCSRは、「企業の社会的責任」より、
「企業の社会的役割」としたほうがイメージがわきやすいと言ってます。
まさにイベントなどのブース出店が、
その役割を果たす活動の一つだと考えています。
CSRと農業で気付いたこと3つ
1、CSRと農業
農業的なCSR活動は近年注目されています。
農業的なCSR活動とは、農業を主要事業としていない企業が、
「農業」に取り組むことで、CSR活動とすることを指します。
例えば、障がい者雇用を農業で活かすことや、
地域活性化の名の下に、不動産・商社・交通などの企業が参入する、など。
徐々にですが、実例が出始めています。
もちろん、農業従事者としてのCSR/SRもあります。
農業ビジネスへの関心が高くなっている時代背景には賛成ですが、
より、従業員のハッピーも考慮した、農や食に関わる方法もあると思うのです。
食というのは、人間においてもっとも根源的なビジネスです。
食がなければ人間生きて行けません。
そのような大切な営みにCSR視点を取り入れる。
それが、食に携わる企業の使命であり、
他社との差別化・アイデンティティの構築につながるということかもしれません。
食育のブースも多く、そんなことを思いました。
2、農業の社会的側面
農業と言っても様々な側面があります。
例えば、メンタルヘルス(福利厚生)としての農業、
環境活動(田園風景の保全)としての農業、
食育(教育)としての農業、
社会的活動(耕作放棄地解消など)としての農業、
もちろん、農業ビジネスとしての農業。
つまり、農業がビジネスという側面だけでなく、
社員の福利厚生だったり、環境活動の一環だったりするのです。
いわゆるCSR的側面をコミュニケーションの主軸とする企業もありました。
3、食の4次機能
よく言われる「食の3次機能」とは、
栄養・嗜好・生体調節のこと。
それこそ最近ですが、4次機能という考え方が出てきています。
食のもう一つの機能は「社会性」。
「心理性」を4つ目に挙げる人もいます。
ベクトルは基本同じ。
CSRコンサルタントの泉氏が主張するように、
食べる事で社会的厚生を増進することや、
心理的効果、コミュニケーションの活性化など、
3次機能から派生した事柄です。
色々な主張がありますが、
「つながりによる幸福感」とも言えるかもしれません。
ファーマーズ&キッズフェスタでは、
東北・福島の農作物販売ブースがいくつもありました。
食の“応援消費”も、4次機能の一つでしょう。
色々考えさせられることも多い部分ではあります。
CSRと農業
東京に住んでいて、「田舎を感じたい≒ロハス」みたいな考え方もあります。
それが悪いことではないですが、
生産の現場は虫やら泥やら、天候による影響やら、
お世辞にも気持ちよいとは言えないモノも多いです。
その負の部分というか、農家の苦労というか、
大変な部分を無視している消費者も褒められるものではないかと。
飲食店で「俺は客でカネ払うんだから言うこと聞けよ!」っていう、
傍若無人な顧客みたいな“農における消費者”にはなりたくないな、と。
まぁ、色々ありますけど、先日、東京・港区のとある飲食店で、
5周年記念イベントの中、取引のある生産者の方が来て、
お客様とブースの中で話しをしていました。
生産者の方の話しですと、
消費者の方何十人・何百人と会話することはほぼなく、
とてもいい勉強になったし、よかったと言っていました。
今回のファーマーズ&キッズフェスタも同様です。
生産者がブース出店できるイベントが増えてきたとはいえ、
地方から東京のイベントに出店するのはなかなか大変なこと。
でもその中東京にきて、消費者と話しをする。
場合によってはその場で食べてもらう。
ISO26000でいう「コミュニティへの貢献」にもなると思いました。
Webや業者を介してではなく、生のコミュニケーションでもあります。
効率だけを求めれば、イベント出店はオススメはできません。
でもね、これこそが、生産者としてのSRでもあるのかなぁ、と。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
ポイントは、
CSRと農業、農業の社会的側面、食の4次機能の3つでした。
このイベントは、農業者(法人がメイン)が主導するイベント。
農家主体のイベントとしては日本最大規模とも言えるでしょう。
来年があるかどうかわりませんし、
運営側として再度依頼があることはないと思いますし、
動向を拝見させていただきながらも、応援したいイベントであります。