常識を疑うという常識
読書メモ「ファクトフルネス–10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣」(ハンスロスリング・オーラロスリング・アンナロスリングロンランド・日経BP)です。
2019年1月に日本語訳が発売されて、すぐに話題になっていたので買っていたものの、いつもの“放置”で今更読んでいます。私は、もう10年近く、1年で100冊以上の書籍を読んでいますが、もしかしたらこの10年で最も“目から鱗”の本かもしれません…。
本書の内容は副題の通り、社会問題のデータの正しい見方を丁寧に説明しているものです。常識が常識ではないという常識を提言している、目から鱗的な本です。これはまいった。すべての章に学びがありました。
社会課題は、特にセンセーショナルなものは悲観して考えがちですが、10年前、20年前と比べて大きく改善した課題も多いとのこと。たしかに悲観したくもなる現状がある側面もあるのですが、世間一般(日本に限らず世界で)の常識は、アップデートされていないものも多いのです。
自分が社会課題として認識していた“事実”は、実は結構前のものであり“現時点の事実ではない”ということが、こんなに多いものかと感じました。SDGsがどうこう言っている人は、先にこれ読んだほうがいいです。SDGsに対するイメージが良くも悪くも変わりますよ。
データの裏側
では具体的に、グッときた箇所を一部引用します。
・「悪い」と「良くなっている」は両立する
・美化された過去に気をつけよう
・数字は大切だが、数字だけに頼ってはいけない
・単純なものの見方を単純な答えには警戒しよう
・犯人ではなく、原因を探そう
上記の文章は各章の文末でまとめられているものです。書籍には解説もありますので興味があれば、書籍で確認してみてください。
ビルゲイツやオバマ元大統領など、ソーシャルマインドが高い人たちが絶賛する意味が読んでわかりました。これは、CSR/ESG/サステナビリティに関わるすべての人が読むべきです。もちろん、NPO/NGOの方にも、一般のビジネスパーソンにもおすすめしたいです。
これは「論語と算盤(渋沢栄一)」「マネジメント(ピータードラッカー)」に加えての“座右の書”になりそうです。びっくりした。
400ページある本ですが1,800円ですよ!買いです。会社の書籍購入費が使えなくても、自腹ででも買うべきです。むしろ2冊買って、1冊は同僚に配布すべきです。お金ももらってないのにこんなに絶賛してしまう自分が怖い…。
ファクトフルネス
ファクトフルネスとは――データや事実にもとづき、世界を読み解く習慣。賢い人ほどとらわれる10の思い込みから解放されれば、癒され、世界を正しく見るスキルが身につく。世界を正しく見る、誰もが身につけておくべき習慣でありスキル、「ファクトフルネス」を解説しよう。
ここ数十年間、わたしは何千もの人々に、貧困、人口、教育、エネルギーなど世界にまつわる数多くの質問をしてきた医学生、大学教授、科学者、企業の役員、ジャーナリスト、政治家―ほとんどみんなが間違えた。みんなが同じ勘違いをしている。本書は、事実に基づく世界の見方を教え、とんでもない勘違いを観察し、学んだことをまとめた一冊だ。