CSR/CSVの先にある社会課題で儲ける!

今回の読書メモは「経済界7月号:特集・社会課題で儲ける!」(経済界)です。

全体的な感想としてやはり“儲ける”には、ある程度の時間軸でみないとダメなんだよな、ということでしょうか。

イントロダクションでもありましたが、本書での「社会課題で儲ける」とはいわゆるCSV企業経営のことのようです。本書では特に吉本興業にフォーカスしてまとめています。

吉本興業は、SDGs文脈(お笑いSDGs推進)でもソーシャルビジネス文脈(ユヌス氏との協業)でも、CSR/サステナビリティ界隈では今までになかったアプローチで活動をしている点はユニークです。まさに吉本興業のCSV的な活動といってもよいでしょう。SDGsは特に、どうやってこの文脈で儲けるのか、ということをみんな模索しているので、注目されるアプローチではあります。特にBtoC企業は吉本興業のアプローチは参考になるかもしれません。

ポーター氏も「CSVは儲けてナンボ」という趣旨の発言をしているので(そもそもCSVはCSRではなくマーケティングのコンセプトとして背景があります)、これはとてもよい動きです。

そういえば、ユヌス氏とのコラボでは昔ファーストリテイリングが組んでいたように記憶してますが、こちらでも近いモデルが採用されるのでしょうか。

ちなみにCSVの話で比較的年齢の高い方の多くが「三方よし」に言及しますが、三方よしは“自分・お客さん・社会”というとても狭いステークホルダーの範囲の話であり、なおかつこのスキームは利益創出のエビデンスもないフレームワークなので、あまり引き合いにだすと論点がずれるのでよろしくない、と思う今日この頃です。(三方よしは精神論というか経営哲学に近いですよね)

ちなみに事例として、伊藤園(産業を持続可能に)、キリンホールディングス(CSV経営)、ファンケル(健康寿命を伸ばす)、ヤマト運輸(過疎地の課題解決)などが紹介されています。

ただ残念なのはエビデンスが浅いというか、他の雑誌やメディアで聞いてきた話ばかりなので(事例紹介の有名企業ばかりなのでしょうがないのですが)関係者には今更感があるかもしれません。こういう仕事をしているからというのもありますが、やはりビジネスセクターでのCSRは、SDGsよりもCSV文脈でもう何年か語り継がれそうな気がします。

企業では定期購読されるかもしれませんので、気になる方はチェックしてみてください。

経済界7月号