グローバルリスク

先日「グローバルリスクレポート」(世界経済フォーラム)というグローバルリスクに関するレポートが発表されましたのでシェアします。

The Global Risks Report 2017(英語、PDF)

大手企業であればサプライチェーンを含めてグローバルなリスクにさらされますが、日本国内の売上も大きくて、リスクとしてはグローバルよりローカルのほうが怖かったりする場合もあります。

というわけで、グローバル、ローカル双方のリスクマネジメントに関する調査をまとめます。もちろん、中小企業であってもリスクマネジメントは重要ですので、そのあたりの資料も紹介します。ちなみに本記事でいう「リスク」はいわゆる「ダウンサイドリスク」の意味です。

グローバルリスク関連レポート3選

1、The Global Risks Report


The Global Risks Report 2017(PDF)

1、異常気象
2、移民問題
3、大規模災害
4、大規模テロ攻撃
5、大規模セキュリティ問題

このあたりが実際に起こるであろうリスクとしてまとめられています。日本ではほとんど「移民問題」や「テロ問題」を企業が抱えるリスクとはならないと思いますが、ないわけではないし、グローバル展開する企業では大問題です。

日本だとCSR部門が対応を担当するわけではないでしょうけど、これらの項目はCSR関連の情報開示としてCSR担当者が関わる部分もあると思いますので一応レポートを確認しておきましょう。

2、中小企業のリスクマネジメント


中小企業のリスクマネジメントと信用力向上に関する調査(2016、PDF)

180ページにもおよぶ膨大な情報がまとめられています。調査内容は中小企業のデータですが、内容自体は大企業でも十分通用する情報だとは思います。

こうやって前述のグローバルリスクと比べると、調査段階ですでにリスクの考え方が異なっていて興味深いです。日本企業としては、グローバルもローカルもどちらも重要な考え方なので、こちらも目を通しておくことをおすすめします。マテリアリティなんかと整合性確認で使える資料かもね。

3、リスク・クライシス

日本国内において最も優先して着手すべきリスク・クライシスは「地震・風水害等、災害の発生」が37.0%で最多で、他を圧倒している。これは、日本においては自然災害リスクが高く、これまでも数多くの自然災害に遭遇していること、なかでも2016年は熊本地震等が発生したことが押し上げ要因と考えられる。2位以降は、「法令遵守違反」25.3%、「情報漏えい」22.8%と続いている。
「企業のリスク・クライシスマネジメント実態調査」2016年版の結果を公表

デロイトトーマツ企業リスク研究所の調査です。ちなみに10位は「過労死・長時間労働等労務問題の発生」となっています。

最近のCSR関連リスクでは、労働慣行がほとんどです。長時間労働で書類送検や監督官庁から指摘を受ける会社が多いこと。現実的にはもっと順位が上でもいいと思うけど。そのあたりは「法令遵守違反」のカテゴリーに入っているかもしれないですが。

まとめ

CSRのメリットやデメリットの議論もありますが、リスクマネジメントのためのCSRはさすがにしないわけにはいきません。

CSRはコストであると言ってる経営者やビジネスパーソンは、たぶん、CSRを慈善事業とか社会貢献だと定義しているんでしょうね。もったいない。

直接的な業務内容はCSR部門ではないかもしれませんが、総合的なリスク対応はCSR部門だからこそ見えてくる部分もあると思います。マイナスに捉えず、積極的にリスクと対峙することで、企業価値の維持と向上に大きな貢献をすることができると思います。

最近のCSRは「リスクと機会」がホットトピックスとなっているので、CSVやソーシャルビジネスもいいですが、一旦リスクマネジメントについても確認しておきましょう。

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