CSR活動の善意が迷惑行為?
CSR活動でも「善意の押しつけ」をしている企業ありますよね。自己満足のためのCSR活動は、時に“弱者への暴力”になります。
たとえば。大規模な自然災害が起きて、善意によって食品会社が食料品物資での支援を中長期的に行なった、としましょう。これは素晴らしいCSR活動です。
しかし、地元の飲食店やスーパーなどの店舗からしたらどうでしょうか。一方ではタダでそれなりの品質の食品がもらえる、一方では1食で数百〜数千円かかる。地域住民はどちらの食料品を選ぶでしょうか。
そう、これはステークホルダーの利益相反現象とでもいうのでしょうか、「こちらをたてればあちらがたたず」という問題です。「一般住民」からしてみたら、無料の食糧支援はずっとあっても構わない。でも食料品を扱う店舗・企業からしたら、地域での商売が成り立ちません。そうして、ただでさえ復興で経済を盛り上げようとしているのに、「善意の押しつけ」で地元の経済が鈍化していくという…。
このごく一部のステークホルダー視点しかもたない企業の社会貢献活動って実は結構あります。指摘されて初めて気付くという企業も多いんじゃないかな?
というわけ本記事では、このあたりを事例を交えてまとめたいと思います。
ステークホルダーの視点
給食の時間に「食育」がある。給食センターの人が来て食育の話をするそうだ。「よく噛んで食べよう」みたいな内容だ。しかし、そんな話を聞かせるためにさらに食べる時間は縮み、黙って聞かなくてはならないので友人らとおしゃべりもできず、不味い飯を食うことになる。これでは「食育」にならないだろう。むしろファーストフードそのものだ。早く食べろ、黙って食べろ、食べながら勉強しろ、流し込め……。
形骸化してきた?食育に木育、これでいいのか
記事では、子どもたちのためによかれと思って始まった活動が、実は子どもたちの負担になっているのでは?という内容です。
残念ながら、冒頭の例のように、あるあるすぎて笑えません。
この事例は「地獄への道は善意で舗装されている」とか「大きなお世話」、「いらぬおせっかい」、「ありがた迷惑」なんて類義語でも言い換えられるかも。
CSRの失敗例としては、実はこのパターンが多かったりします。よかれと思って行なった活動が、ポジティブインパクト以上にネガティブインパクトを生んでしまった、という例です。
押しつけにならないための3つのポイント
ではCSR活動が「押しつけ」にならないために、CSR担当者はどんな点に気をつければいいでしょうか。
1、フィードバックをもらう
世の中に完璧なCSR活動など存在しません。現場を重視し課題を常に抽出する努力をしましょう。受益者からのアンケートや受益者ヒアリングも、軌道修正の有効な手段となります。
2、計測する
そもそも「こちらをたてればあちらがたたず」は、アウトカム(成果)やインパクト(影響)の予見レベルが低すぎるために起こります。つまり「やって終わり」を止めようということです。CSR活動を行なったら必ず効果測定をしましょう。そうすることで、現場の異変に少しでも早く気付けるはずです。
3、評価する
できれば第三者評価を入れたいです。自分たちでは間違ったことをしていても誰も指摘してくれないことがあります。日本人の多くは“大人”なので、文句を言わず静かに立ち去ります。現場に残るのは企業への恨みや悪評だけ、なんて寂しいですよね。そうならないように、常に軌道修正ができるシステムを作ることが重要です。
3つのポイントを例としてあげましたが、まとめると「ステークホルダーとコミュニケーションを取りましょう」ということですね。最近はやりのステークホルダーエンゲージメントでもあります。企業とステークホルダーが双方向の意思疎通を通じて初めて有意義なCSR活動を行なえるのです。
まとめ
一方的な善意は暴力にすらなります。誰かを苦しめることもありうるのです。
ただ、善意の全て悪いことであるとは思っていません。多くの善意は人々の課題を解決しうるすばらいいものです。そこは勘違いしないようにしてください。
この記事を読むような情報感度の高い担当者は問題ないと思いますが、今一度、ステークホルダーと真摯に向き合い、適切なCSR活動および社会貢献活動を行なっていきましょう。以下の記事も参考にどうぞ。
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