CSR本

CSR企業評価のための効果測定

今回の読書メモは「社会的インパクト評価とは何か 社会変革のための投資・評価・事業戦略ガイド」(マーク・エプスタイン|クリスティ・ユーザス、鵜尾雅隆|鴨崎貴泰、松本裕、英治出版)です。

CSR企業評価は、東洋経済のCSRランキングのような点数の積み上げによるものもありますが、CSRプログラムなど実務的な評価を行なうこともあります。

そこで僕はここ数年で盛り上がっている「インパクト評価」の概念をCSR評価に使い始めているのですが、これがまた難しい。僕が難しいということは、実務レベルに落とし込めているCSR担当者は日本に何人いるんだよ、という話だと思います。

そんな中での本書の刊行ということで、予約して購入。まぁ、鵜尾さんの監訳だし、失敗してもいいかなと思ってポチっとね。

企業事例もいっぱい載ってるし、勉強になるなぁと思って読み進めたら、結構内容が難しい。決してカジュアルに読める代物ではなかったです。詳細まで読み込めていません。これらのフレームワークをどのCSRプロジェクトにどのような形で使えば良いのか…。

ソーシャルセクターやパブリックセクターの領域においては非常に重要な示唆があると思うのですが、ビジネスセクターだと本書にあるフレームワークを直接使うのは難しいかもしれません。セクターが異なるので、当然といえば当然ですけどね。

なぜかというと、この本に日本の事例がないし先進的すぎて真似ができないということです。ネスレやユニリーバのCSR/CSVがすごいと様々なセミナーの事例として紹介されるのと同様に、他社は真似できないんですよ。何度聞いても。それって意味ありますか?っていう。

と、ちょっと愚痴っぽくなりましたが、本書の魅力は真似をするかしないかではなく、紹介されているインパクト評価(CSR・社会貢献評価)の基本概念を理解し、CSR報告に生かせる所です。特に統合報告を作っている企業担当者は「価値創造ストーリー」の作成があると思いますが、まさにそのフレームワーク(オクトパスモデル)は、このインパクト評価のプロセス評価そのものなんですよ。

というわけで、「やべっ、これちゃんと読んで勉強しよう」ランキング2015の1位となった本書でした。

CSR担当者はもちろんのこと、広報担当などにもオススメです。一番オススメなのはCSRコンサルタントかな。僕のライバルが増えるのは歓迎しないけど、これらの概念を理解してCSR支援を行い、企業のCSRインパクトを増大し最適化させることで、マジで社会は変えられると思うんですよねぇ。

社会的インパクト評価とは何か

NPO、企業、財団、行政の企画・評価担当者必携! 何を投資するのか? どのような問題に対処するのか?成功はどのように測定するのか? そして、インパクトをどうすれば大きくできるのか? ビル&メリンダ・ゲイツ財団、アショカ、ナイキ、ゴールドマン・サックス……100以上の企業・非営利組織の研究から生まれた初の実践書。