CSR担当者

CSR担当者に求められるスキル

先日、とあるCSR勉強会の飲み会であった話なのですが、「CSR担当者の未来」についてまとめます。お酒の席なので、僕の記憶も曖昧(?)なのですが、興味深い視点だったので、シェアします。

CSR部、CSR室、CSR推進室、CSR委員会、CSRプロジェクトチーム、CSR統括委員会などなど、企業によって様々な呼び名となっているCSR推進組織。実際、御社では社内でCSR担当者の立ち位置はどうでしょうか?

結論からいうと、CSR担当者は「社内のCSRコンサルタント」的立場になるべきなのかなと感じています。「3つのスキル」としてまとめました。

CSR担当者に求められる3つのスキル

1、社内調整力

CSR担当者はより社内調整力が問われることになりそうです。

統合報告はIR部門、ステークホルダー・コミュニケーションは広報部門、ボランティアや女性活用は人事部門、BOPビジネスやマテリアリティ設定は経営企画部門、チャリティ販売企画はマーケティング部門、サプライチェーンマネジメントは資材調達部門、コンプライアンスやガバナンス推進は法務部門などとの連携が必須です。

これに加えて、CSR活動のための予算獲得能力、経営層・管理職との定期的なコミュニケーション・セッティング、なども求められ社外へインパクトを出すための“行動力”が必要となります。CSRの知識がいらないとは言いませんが、社内外のインパクトという結果論からすれば優先順位は社内調整力が上でしょう。

また会社で発言力のある偉い方とつながっておくのも重要。社内政治力とか権力闘争とか言われる場合もありますが、キレイごとだけではCSR推進なんてできません。

あとは、CSRの予算の課題。上場企業やCSR推進企業と呼ばれる企業でも、CSR報告書制作予算以外を前もって準備している所はあまりありません。CSR活動のメリットを提示し、正当性をどこまで認めてもらうかは担当者の腕次第です。予算がなくてもできるCSR活動はもちろんありますが、なければできない活動ももちろんありますから。

2、情報ネットワーク

最新のCSR事例を日々ピックアップし、自社のCSR活動に反映する必要があります。

そこで重要になってくるのが「情報」です。ウェブメディア、書籍からの情報収集を定期的に行なうのは当然として、各種CSRセミナー、コミュニティ色が強い勉強会、他社CSR担当者との情報交換、なども活用する必要があるでしょう。

セミナーや勉強会は、参加費が無料もしくは数千円というものから、10回連続講座で数十万円というまで様々。CSR関係だと、僕みたいな人間が主催するものから、監査法人やシンクタンク、政府関係機関がするものまでこちらも様々です。

忙しいスケジュールの中、セミナー等に参加するのは大変だとは思いますが、デスクの前にいても“生の情報”は降りてきません。特に、マテリアリティ設定している領域に近いもの、もしくは一番課題であると感じているセミナーには、投資をして情報を取りにいくことが重要です。

情報がなかったために、非効率なCSR活動をし続けることになり、なかなか結果につなげられない、ではもったいないですよね。

あと、CSRってR&D(研究開発)的な要素もあると思います。そうなると、より社内にこもっていないで、社外の情報やリソースを使う必要がでてきます。

3、専門家のコネクション

お金を払うかどうかは別として、CSRに詳しい第三者意見を行なう大学教授や、CSR支援会社・報告書制作会社の担当者などと定期的な情報交換をできる環境を作っておく必要があります。

CSRの評価をするのは、自分たちではなく、第三者を含めたステークホルダーです。だったらその人たちに直接意見を聞けばいいじゃないですか。

一点、注意点があるとすれば「CSRに詳しい人がいないCSR報告書制作会社」ですかね。色々なCSR担当者の方に聞くと、結構あるみたいです。制作会社は受注できればなんでもするけど、よくよく話を聞いてみたら、全然CSRが分かっていないというケースです。

CSR界隈の制作物は、他の一般的な制作物とは異なり作るのが大変なレポートの一つです。会社案内とか社内報のノリで作り始めると痛い目に合います。そりゃそうです。会社案内や社内報には国際的ガイドラインなんてないし。CSR領域は専門用語も多いですからねぇ。

と話が脱線しましたが、専門家とのネットワークは大事です。もちろん、僕へのご相談も随時募集中です!

まとめ

CSR担当者の悩みは、任期中ずっとつきまとうことでしょう。

悩みがあるということは、それはある意味成長しているということでしょう。

また、僕は、CSR担当者(CSR責任者・CSR担当役員)以上に会社のCSRが推進されることはないと思っています。「企業は、社長以上の器になることがない」と同じです。

上記に挙げた「3つのスキル」は何も特別なものではありませんが、CSR推進を本気で進めるにはとても重要なスキルになると思います。社内外問わず、ステークホルダーを巻き込んでこそのCSR活動ですからね。担当者だけでがんばってもしょうがないので、色々な人を巻き込みながら進めていきましょう!