CSR農と食

企業CSRとしての農業と食の問題

別に黙っているわけではないですが、僕個人の興味があるCSR領域は「農と食」です。飲食・外食・食品業界のCSRには非常に興味を持っています。

興味があるから詳しいというわけではないのですが、改めて昨今の流れを振り返ってみたいと思います。

企業は、社会の資源を搾取する存在なのか、それとも、社会の課題解決に貢献する存在なのか。

鳥越製粉の事例

鳥越製粉は、「企業活動を通じて当社を支えて頂いている全ての人に豊かさと夢をもたらし、地域社会、日本そして世界の人々の生活文化の向上に貢献し、世の中になくてはならない企業になる」という企業理念を掲げている。
昭和29年、同社では、得意先パン企業を対象に、業界で初めて「パン経営技術総合研究会」を開催した。当時、パン業界が直面していた諸問題を解決することを狙いにした。「パン経営技術総合研究会」は業界異色のイベントとして全国的にも高い評価を受けた。研究会を毎年継続するうちに、パン業界の諸問題は同社の研究会に参加すれば解決できるという評判が確立。
鳥越製粉では、企業理念の「世の中になくてはならない企業」という姿勢を貫き、サプライチェーン企業への支援や社会に貢献する商品開発に取組み続けている。ステークホルダーや社会が抱える課題を敏感に感じ取り、自社としてその課題の解消に積極的に取組むことが、企業の成長にもつながっている事例だといえる。
食への貢献と共有価値創造より、引用し抜粋)

この動きはすごいっすね。CSRが大きく注目された2011年以降ではなく、昭和29年からやってるんですもん。

また、鳥越製粉の価値の生み方というか、世間的にはCSVって言われる事例なんでしょうね。僕的には日本企業らしいCSRっていいますけど。

あと、糖質カットのパンの販売など、時流を見極める先見性と技術力など、まさに社会における生活習慣病の改善に貢献とか、ビジネスとしても大ヒットをさせたとか。誰かのためになるビジネスをする。商いの基本ですが、とても参考になるCSR事例かと思います。

食肉急拡大に地球環境は耐えられない

大規模な土地利用の変更と、必然的な森林破壊が飼料生産時から始まる。現在の農地の約3分の1が飼料生産に使われており、畜産に使われる土地は、放牧を含めて農地全体の約70%に達した。農作物の飼料への転換が拡大すると、食糧価格や土地価格に上昇圧力がかかり、世界中の貧困層は基本的な必要栄養量を満たすのがますます困難になる。
新興諸国の中流層が増大する今日、食肉の生産・消費に関する既存の先進国モデルは、未来の健全な青写真ではない。環境保護、社会、倫理の観点から私たちが限界を見定め、その限界を超えないシステムを生み出すべき時が来ている。
「工場畜産」の爆発的拡大が生む百害〜食肉急拡大に地球環境は耐えられないより、引用し抜粋)

本来、御社が負担すべき社会的コスト・環境コストを他のステークホルダーに丸投げするな、と。

そもそも物事には限界があります。農業はデータで存在するソフトウェアではないので際限なく生産量を増やせるわけではありません。

食に関しては、様々なカテゴリーで大きな差があるように思います。貧困層が多い国はますます圧力により貧困が進み、先進国は必要以上の食料を抱え込み、食べきれず廃棄する。これが現実ですね。

子どもの食育でどうこうできるレベルをもう超えていますね。

■参照:CSRの範疇ではもはやない? 75兆円を“捨てている”世界の食料廃棄事情

The Scarecrow

増え続ける人口を支えるために家畜の工場生産も必要だとは思うのですが、でもそれが正しい姿なのかはわかりません。ちなみに、この動画は世界のアワード受賞歴もある、1,300万回再生(!)の話題の動画です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

いわゆる一次産業(農林水産業)は、自然を相手にするところで、そもそもとてもソーシャルな事業領域でもあります。ステークホルダーが幅広いですからね。また、食は人間の3大欲求の一つで、誰もが避けて通れない領域です。

今回紹介したCSR事例や、地球環境の限界値、海外で話題の動画など、紹介すればきりがないのですが、改めて、企業は自分たちの行いを振り返る必要があるのかもしれません。