先進的な非財務情報開示

「統合報告」とは、企業の売り上げなどの財務情報と、環境や社会への配慮、知的資産から、ガバナンスや中長期的な経営戦略までを含む非財務情報を投資家などに伝えること。

また、この情報をまとめたものが「統合報告書」と呼ばれています。

来年のCSR報告書のコンペがすでに始まっていますが、CSR担当者の方も気になるワードになってきているのではないでしょうか。

ってか、CSR報告書のコンペって一年〜一年半前から始まるんですよね。CSR報告書の制作会社は、今年分の制作が一段落して、コンペ(営業)にフォーカスし始めているんでしょうね。

先進的な非財務情報開示

CSR報告書作成のガイドラインを策定するGRI(グリーン報告イニシアチブ)によると、2013年3月時点で2011年版報告書を発行した世界2015社のうち350社が統合報告書を発行しています。

日本IR協議会の調査結果によれば、上場企業902社のうち、統合報告書について、作成済みおよび作成予定の企業が合計で96社(11.5%)であることがわかりました。これから、日本でも微増ですが、確実に増えていきそうです。

統合報告(Integrated Reporting)とは、財務情報と非財務情報を関連づけ、企業価値をどのように高めていくかを記した戦略的な報告のことです。企業報告が大きな変化の段階に入っています。

今までの財務諸表での情報だけでは、企業の分析、投資の意思決定に十分な情報を提供できなくなってきているのが問題となっています。

財務情報としては、財務諸表、計算書書類の法定開示書類に加えて、決算短信、アニュアルレポート等の多くの財務情報が提供されています。

一方、非財務情報としては、有価証券報告書の人的な企業情報、コーポレート・ガバナンス報告書、CSR報告書、環境報告書、サステナビリティー報告書等、名前はどうであれ様々な非財務情報が提供されています。

自社の企業価値を適切に伝え、ステークホルダーとの対話をより有効に行い、持続的に企業価値を高めるためのアプローチとして統合報告が注目されたのは、必然なのかもしれません。

統合報告の台頭は、貨幣価値以外の要素が企業の価値を作り出す時代の到来を指し示していると言えるでしょう。

参考文献
・持続的な企業価値創造に資する非負務情報開示のあり方に関する調査(経済産業省、2012)
・「統合報告」を語るシリーズ(新日本有限責任監査法人、2013)

参考記事
CSR報告書の最新ガイドラインが発表!GRI「THE G4 GUIDELINES」
2012年版CSR報告書の“まとめ報告書”から見えた最新動向
情報開示は誰のため?投資家を意識したCSR情報を開示している企業が54%という件

まとめ

いかがでしたでしょうか。

財務情報はあくまでも、過去の活動報告であり、未来志向の報告ではないことも多いです。

企業価値とは、「企業が生み出すキャッシュフローの総額」を指すことが多いのですが、しかし、それは「狭義の企業価値」と解釈されはじめており、金銭的価値以外にも存在する企業価値(広義の企業価値)の情報開示を行う企業が世界で増えています。

可視化されていなかった企業価値を明示することは、経済の新しい価値観の提示に他なりません。

御社のCSR報告書はどんなベクトルを目指していますか?

すぐにでなくとも、統合報告のベクトルも検討する価値はあると思いますよん。