ワークライフバランスとCSRの関係

育休。そんな制度がそもそも会社にあるかどうかすら知らない人は多いかもしれません。今回は、CSR活動としての育休について考えてみます。

育児休業取得者数ランキング・トップ100–金融機関が上位を独占、首位は三菱UFJの1312人《CSR企業総覧2012年版・注目ランキング》

上記のように、取得者数で言えば、大手が並びます。でもこれって中小企業でも可能なんじゃないかなぁと思い、いくつかの資料も交えながらちょっと考えてみます。

CSRとしての育休

東証1部上場企業のトップが育休を取ったことで話題を呼んだのは、グループウエア大手サイボウズの青野慶久社長だ。10年8月に第1子で2週間休業したのに続き、12年に第2子で半年間にわたり毎週水曜日を「育児デー」として休んだ。同社では青野社長に続き、5人の男性社員が最長10カ月の育休を取ったという。サイボウズの広報担当者は「社長の行動は、育児や介護、病気など事情を抱えながらも長く働ける会社というメッセージになったのでは」と説明する。
(イクメン、変わる働き方 在宅勤務の規制緩和などで不安解消)

広報の回答が微妙だったのはさておき、中の人に聞きましたが、サイボウズの比較的自由な風土だと、色々なアクションを起こしやすいと聞きました。

CSRとは企業価値向上目指す考え方です。経営視点から言えば、従業員が欲しいと言ったすべてのことに対応はできません。

社長が育休を取るくらいなので、その尺度(取っても良いんだということ)はわかります。あとはその育休という制度をどう企業価値向上と結びつけられかでしょう。

福利厚生だから業績に連動しなくていいでは経営者失格です。育休を積極的に取れるということは、ワークライフバランスの意識レベルが高い、ロイヤリティの高い企業というアピールもできますよね。

冒頭で紹介した記事では、CSR推進企業の項目として育休取得があるくらいです。

やはり、ワークライフバランスを独自でもいいので確立させている所は強いですねぇ。イクメンも流行だし。社会の流行に乗るのも悪いことではないですよん。

育休の問題点

何でもそうですけど、制度を準備すればいいってもんじゃないです。仮に制度があっても、取得をしないのは何が課題となっているのか見極める必要がありますよね。

24~55歳の男性会社員300人を対象にインターネットで実施。育児休暇を取得するために必要な取り組みを聞いたところ、「ノー残業制度」「短日勤務」「時短勤務」など柔軟な勤務制度が39%、「在宅勤務」が38%で、この二つの回答で77%を占めた。また「給与保証」(11%)、「夫婦が交互で育休を取れる制度」(9%)という声も挙がった。
調査を実施した同実行委は「仕事上の懸念として復帰への不安や人員減による負担増が上位を占めており、チームとして仕事が回るかどうかを懸念している声が大きい。また育児休暇を取れるなら取りたいという男性が約半数おり、昨今のイクメンブームと相まって、育児への男性参加が進んでいることがうかがえる」とコメントしている。
<育休取っていいなら>男性会社員5割が「取る」

上記記事にもあるとおり、ただ休んでいいよといわれても、主に給与面の問題があり難しい、と。企業としても福利厚生とはいえ、何も成果を上げていない人にずっと満額給与を支払うのは難しい。流行のノマドワーキングではないですが、勤務形態の柔軟な取組みも必要ですね。

こういうアンケートとかリサーチって社外じゃなくて、社内ではしないもんなんですかね?

ワーキンググループというか、有志のプロジェクトでもいいし、社内でみんなを巻き込むアクションはいいと思うんだけどなぁ。

それこそ、草の根CSR活動みたな形になると思うし、これらの動きをCSR報告書のコンテンツにしてもいいと思うんですよ。

予定調和の第三者意見とか、ダイアローグとかするよりよっぽどいいでしょ。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

福利厚生としての育休を考えてるうちは、CSR活動として、企業価値向上にはつながりにくでしょう。

社員が数人の小規模事業者では資金的に難しい場面はありますが、少数チームだからこそ、うまく出勤シフトを組んでいけば、逆にある程度自由なスタンスを取れるかとも思います。

要は、紹介記事にもあったとおり、経営陣が自分自身で育休を取得するのが一番いのですけど、偉くなるくらいの人はお子さんもある程度の年齢になっていることが多いでしょうし、役職者(部長クラス)あたりが率先して取るとかが現実的な落としどころかも。

育休は一生で何度も取るものではないし、制度の整備はもっと進んでもいいと思いますけど。

あなたの会社は育休ってありますか?そしてそれって“使える”制度ですか?