統合報告書

統合報告書制作で役に立つアワード

統合報告書は2020年で500社以上発行したとされており、グローバルなESG評価の対象企業の中ではだいぶ浸透してきたかと思います。とても素晴らしい統合報告書がでてきたものの、多くの企業のものは、正直、毒にも薬にもならないレポートというイメージがあります。

今後の統合報告書は「バリューレポーティング」(企業価値報告書)でなければなりません。財務・非財務がどうこうではなく、両面を考慮して、どのような価値創出を行うのかを開示するレポートということです。サステナビリティレポートも統合報告ほどではないにしろ、ただの活動報告ではなく、どのような社会的価値を生みだし、「どうやって社会課題解決に貢献しているのかを示さなければなりません。結局はどちらも「価値創造」という点は同じですね。

さて、では制作にあたりどんな統合報告書をベントマークすればよいか理解していますでしょうか。本記事では、そのヒントになるであろう、統合報告書の制作にも関係する、IRおよび統合報告書関連のアワードとその受賞企業を紹介します。参考にしてみてください。

統合報告書に関するアワード

IR優良企業賞

◯優良企業大賞
丸井グループ、ダイキン工業、ソニー

◯優良企業
小松製作所、J.フロント リテイリング、中外製薬、日本電信電話、日立製作所、ミネベアミツミ

◯優良企業特別賞
エフピコ、花王、富士製油グループ本社

◯優良企業奨励賞
オイシックス・ラ・大地、鴻池運輸

日本IR協議会|IR優良企業賞(2020年11月発表)

統合リポート・アウォード

◯優秀企業賞
伊藤忠商事
日立製作所

◯優良企業賞
味の素
エヌ・ティ・ティ・データ
三菱ケミカルホールディングス

◯特別企業賞
カゴメ
住友金属鉱山
東京応化工業
日本ユニシス

WICIジャパン|統合リポート・アウォード(2020年12月発表)

環境コミュニケーション大賞

◯環境報告大賞
住友林業

◯気候変動報告大賞
キリンホールディングス

◯環境報告優秀賞
アレフ
塩野義製薬

◯気候変動報告優秀賞
アンリツ
ファミリーマート
富士通フロンテック

◯生物多様性報告特別優秀賞
サラヤ

環境省|環境コミュニケーション大賞(2021年2月発表)

日経アニュアルレポートアウォード

◯グランプリ
中外製薬

◯準グランプリ
オムロン
日立製作所
三菱ケミカルホールディングス

◯特別賞
アサヒグループホールディングス
ENEOSホールディングス
J. フロント リテイリング

日経|日経アニュアルレポートアウォード(2021年2月発表)

優れた統合報告書

4機関以上の運用機関から高い評価を得た「優れた統合報告書」

伊藤忠商事
日立製作所
東京海上ホールディングス
キリンホールディングス
不二製油グループ本社
三井化学
三菱ケミカルホールディングス
花王
オムロン
リコー
丸井グループ

GPIF|国内株式運用機関が選ぶ「優れた統合報告書」(2021年2月発表)

記述情報の開示の好事例集

味の素
丸井グループ
三井物産
鹿島建設
アンリツ
東急
TOTO
旭化成
J. フロント リテイリング
三井化学
キリンホールディングス
JFEホールディングス

金融庁|記述情報の開示の好事例集2020:ESGに関する開示例(2020年11月発表)

まとめ

こうやってみると、アワードごとに特徴はあるものの、重複する企業はいくつかでてきます。各アワードも、より下位の受賞企業もありますし、そう考えると、高い評価を得られる企業群は上位数十社程度でしょうか。

詳しくは、私の主宰する勉強会「サステナビリティ情報開示勉強会」で話をしていますが、これらの評価が高い企業の統合報告書を参考にしていただき、今年発行分の制作のヒントにしていただければ幸いです。コンサルティングほどではないにしろ、法人会員であれば無料でご相談をお受けできるのでお得かと思います。

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