CSRとガバナンス

改訂前の本も読書メモを書いたのですが、今回の改訂版もメモしておきます。

本書「コーポレートガバナンス・コードの実践-改訂版」(日経BP社)は、タイトル通り、企業においてどのようにコーポレートガバナンスを進めていくかが書かれています。

コーポレートガバナンスは企業の社会的責任の一部である、という考え方に異論がある方はいないと思いますが、実務においてCSR部門がコーポレートガバナンスにどこまでタッチできるかというと…やはり役割としてはCSR/サステナビリティ担当役員が進めるのでしょうか。CSR担当だと、このあたりはほとんどタッチしないかもしれませんが、情報開示の段階で現状をステークホルダーに報告する必要があると思いますし、上場企業では今後より関係性をもって対応していくことになりそうです。

加えて感じるのは、「コーポレート・ガバナンス・コード」にも記載がある点もあり、本書でも語られていますが、やはりCSRという表現よりESGやサステナビリティというワードの方が、IR的には適切ということなのでしょうか。CSR界隈でもSDGsの普及もあり、CSRよりサステナビリティというワードのほうが認知度が高くなる日も近いのでしょう。

対談形式でまとめられていて口語的な流れもあるので、500ページを超える書籍なのですがサクっと読めます。ただ、すごく濃密な情報ですので、何度か読み込む必要はあるでしょう。

ちなみに、対象にしているのは上場企業ではあるものの、コーポレートガバナンスの考え方は、未上場大手企業でも参考になると思うので、読んで損はないと思います。CSR/ESGは新時代の経営ルールであるという点はご理解いただけるかと思います。

最近の日経BPは、関連会社がCSRコンサルティングをしているというのもあるかもしれませんが、ESG関連の書籍も出版しており、非常に素晴らしいです。ぜひ、今後の作品にも期待しています。

ESGに興味があるCSR担当者から、IR部門とコミュニケーションが必要なったCSR担当者、などにオススメです。

参照:K統合報告

青山学院大学の北川先生が考案した「K統合報告(新アニュアルレポート)」の18項目です。統合報告に何を書いたら良いのか迷っているかたは、参考までにどうぞ。

1、企業理念、哲学
2、産業・企業の特性
3、歴史的経緯(過去・現在)
4、自己分析(強み、克服すべき弱点)
5、中長期戦略の課題と目標
6、ビジネスモデルとポートフォリオ
7、CEOメッセージ
8、研究開発の重点
9、マーケティングの効率性
10、生産効率
11、従業員のモチベーション
12、ダイバーシティ&インクルージョン
13、地域社会との関係
14、環境への取り組み
15、コーポレートガバナンスシステム
16、財務データ
17、財務政策
18、サステナビリティへの執念

コーポレートガバナンス・コードの実践

2018年6月のコーポレートガバナンス・コード改訂を踏まえて、企業価値向上につながる「真のガバナンス改革」とは何か? 中長期的な企業価値向上を達成するために、どのような取り組みに着手すべきなのか? 最先端企業のIR担当者、国内外の代表的な機関投資家、企業法務の第一人者など、この分野の実務に精通したプロフェッショナルが徹底的に論じます。上場企業の役員・取締役必読!