ステークホルダーエンゲージメントのその先

今回の読書メモは「ファンベース」(佐藤尚之、ちくま新書)です。

本書は、マーケティングにおいて「ファンベース」という考え方が重要である、というもの。CSRとは直接的には関係ないのですが、ステークホルダー・エンゲージメントのヒントになりました。

私はステークホルダー・エンゲージメントが専門ではありますが、この数年で、社会の変化に合わせて、その具体的な取り組みも大きく変わろうとしているように感じています。ESG投資の流れからIRにおけるステークホルダーエンゲージメントは当然変わってきているし、今まで社会貢献活動は震災復興一色だったのですが、この数年で良くも悪くも落ち着き、SDGsやマテリアリティの戦略的な取り組みから、エンゲージメントプロセスを見直す企業も増えています。

また「応援される存在になる」という話では「ソーシャルグッド」が重要であり、CSR、CSV、エシカル、復興支援、SDGs、ホワイト企業、などの要素を少しでも増やそうと。そしてそれを適切にアピールしよう、と。これは私が以前から言っている通り「ソーシャルグッド=社会が良くなること」に対して、反対する人は基本的にいません。全世界の唯一無二の価値観が「社会が良くなること」なのです。確かに、応援者を増やすには重要ですよね。

あと、私もそうだようなぁ、と思いながら読み進めたのですが「ファンの支持を強くするアプローチ」で「共感・愛着・信頼」と表現されていましたが、まさに、今後のステークホルダーエンゲージメントに必要なポイントを薄々感じていたものが、明文化されたようでした。

ぜひ、本書の「ファン」という単語を「ステークホルダー」に置き換えて読んでみてください。たぶん、新しいエンゲージメントの形がみえてくると思います。ステークホルダーエンゲージメントの具体的施策に悩んでいる方、CSRの社内浸透に課題を感じている方、などはとくに学びがあると思います。

ファンベース

これからのマーケティング必読の書! ファンベースの基本的な考え方は、「共感」から「熱狂」へ、「愛着」から「無二」へ、「信頼」から「応援」へ。それぞれの考え方と方法、具体例が豊富に紹介されており、大企業でも、中小企業でも、どんな業種でもすぐに応用ができます。