読書メモ「アカウンタビリティから経営倫理へ」(國部克彦)

CSRと経営倫理

今回の読書メモは「アカウンタビリティから経営倫理へ–経済を越えるために」(國部克彦、有斐閣)です。

本書のテーマの一つは『「経済の時代」から「人間の時代」へ』というものです。詳しくは本書をお読みいただければと思いますが、CSRはコーポレートが主役のように感じますが、結局のところ人なんじゃないの?という話です。(超意訳)

「理念なき実践には希望がないが、実践なき理論も無力である」。理論だけでは社会は変わらず、社会変革には実践も重要であるというメッセージは、まさに本書の軸だと感じました。

CSR関連書籍は一通り目を通していますが、実は理論立ててCSR的な概念を説明できている人はいません。本書でいうと『第5章 「人間時代」の経営倫理』では、個人と法人における道徳観・倫理の差や、SDGsの指針的意義、ステークホルダー・エンゲージメントのコーポレートガバナンス機能、などを含めた解説がされており、興味深い展開がありました。

私は実践の人間なので経営倫理的な領域の素養はありませんが、私がCSRの中でも特に注目しているステークホルダー・エンゲージメントでは、現行の形のままではCSRの大きな課題を解決できない、というロジックは非常に共感しました。

結局、多くの日本企業は、本来の意味で“耳の痛い話”となるフィードバックを嫌うし、経営陣もそれを求めようともしないのです。CSR報告書に記載するためのエンゲージメント・パターンではなく、よりステークホルダーとの関係性を深められる超実践型のエンゲージメントが必要なはずなのにね。

CSR担当者(中級以上)、経営企画担当、CSRと経営の関係性に悩んでいる方、などの方におすすめだと思いました。

アカウンタビリティから経営倫理へ

一方で人類に多大な恩恵をもたらすとはいえ、他方で格差・環境破壊・金融危機等の問題を引き起こしてしまう経済のメカニズム。それを内側から変革するため、哲学等諸学問の成果を縦横に駆使しつつ、経済活動を規定している会計の立場から実践的な指針を提示する。


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