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統合報告書作成のヒントになる「ガバナンス革命の新たなロードマップ」(北川哲雄)

CSRとガバナンス

今回の読書メモは「ガバナンス革命の新たなロードマップ–2つのコードの高度化による企業価値向上の実現」(北川哲雄、東洋経済新報社)です。

本書の内容は、IR担当の方がESGまわりの話を総合的に学ぶため、というイメージです。図解はほとんどなく、テキストがベースなので、決して読みやすいとはいいませんが、そこはさすが北川先生、わかりやすく全体をまとめています。

興味深かかったのは「4章:統合報告書」と「6章:ESG投資の可能性」でした。

統合報告書というのは、本当にやっかいなモノです。本書の話では、統合報告書におけるサステナビリティの意味は、どちらかというと本来の「“社会の”持続性」ではなく「“企業の”持続性」を表現すべき、という話だと勝手に解釈しました。

このあたりの議論が混在しているからCSR担当者とIR担当者の意識差が埋まらないのかもしれません。ざっくりいえば、統合報告の主語は企業です。CSR報告書は社会やステークホルダーが主語(ステークホルダーに対し自社のインパクトやバウンダリを報告する)です。この根本的な差を理解しない限り、CSR報告書を廃止し、アニュアルレポートに統合し「統合報告書」を作るという、読者不在のアクションが続くのでしょう。

これらを本書では「目的適合性のある統合報告書」としています。結局はマテリアリティの話につながるのですが、やはりCSR視点が強すぎる統合報告書は、その成果や意味が半減してしまう気がします。

本書でも言われますがCSRの「企業価値向上」という側面や、より本質的な「価値創出」や「あるべき姿」について議論があってもいいでしょう。では日本でそれを誰が引っ張れるのかというと、誰なのでしょうか…。

CSR(非財務領域)のビジネス価値がCEOや企業・市場に広がれば、このマーケットももっと広がります。逆に今後、CSRがビジネス価値に貢献できるエビデンスやロジックを作れなければ、いつまでたってもCSR活動はコストであり社会へ浸透せず、ステークホルダーの利益も目減りするだけです。

タイトルは「ガバナンス革命」ということですが、ESG全般の話もそこそこあったので、CSR担当者はもちろん、広報・IR関係者の方にもオススメです。

ガバナンス革命の新たなロードマップ

2つのコードの改革に、インベストメント・チェーンの各プレイヤー[企業・アナリスト・機関投資家・アセットオーナー]はいかに対応をするべきか。企業価値向上の好循環の流れを持続させるための、「統合報告書」「議決権行使」「新アナリスト規制」「フェア・ディスクロージャー・ルール」「PRI(責任投資原則)署名」「ESG投資」「エンゲージメント」等による改革の方向を示す。



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執筆者:安藤 光展[→プロフィール詳細]