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CSR担当者が対応すべきGPIFのESG指数のポイント

GPIFのイチオシはSDGs

7月3日に公的年金を運用する世界最大の機関投資家GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が「ESGインデックス」を発表しました。同インデックスを用いた運用を既に1兆円規模で行っているということです。

GPIF|ESG指数を選定しました(PDF)

ちなみに格付けは公開情報を用いているとのこと。時価総額300〜500社くらいで、適当にしかCSR/ESG情報を開示していなかった企業は今後はえらい目にあいまっせ。

ESG情報をどうやって開示していくか、という詳細の話はIR支援会社に任せるとして、本記事ではCSR担当者が確認しておくべき、ESG投資に関する動きをまとめます。

結論、GPIFは、企業のSDGs対応はCSV(共有価値創造)的であり、ESG投資と表裏一体であるとしているので、大手上場企業のCSR担当者はSDGsにガチンコ対応したほうがよさそうだぞ、という話です。

ESG指数の選定について

1、長期的にポートフォリオのリスク調整後リターンの改善効果を期待
2、公開情報に基づくポジティブ評価を基本とし、日本の株式市場全体の底上げを目指す
3、複数の指数を選定し、特定のテーマに偏らないようバランスに配慮
4、運用評価・リスク管理等を適切に実施
5、投資規模は当初は3%程度(1兆円程度)で開始し将来的には更なる拡大を検討
GPIF|ESG指数を選定しました(PDF)

上記がESG指数選定におけるポイントのようです。CSR担当の範囲でいえば「網羅的なCSR活動の実施およびその積極的な情報開示」というところでしょうか。どのメディアにESG情報を発信するかなどはわかりませんが、少なくともCSR報告書でまとめていた内容をそのままではなく、ある程度、ESG定義による情報加工が必要になるのかもしれません。

女性活躍推進は、大手企業は法制化され開示も必須になりました。IR的にも意味があるということで、このカテゴリーのCSR活動と開示が進むといいですね。

ESG指数の報道

130兆円を運用する団体がこれだけ大きな話(と思われる)をしているのだから、経済系メディアが報道しないわけありません。というわけで、ポイントになりそうな記事と解説を抜粋して引用し紹介します。加えて、ESG投資に関する関連データも併せて紹介します。こうやってみるとCSR担当者も最低限のIRリテラシーをもたないとダメっぽいですね。

投資対象は300社程度

公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、環境や企業統治を重視した企業を選ぶESG投資に3兆円を投じる。6月までに1兆円を投資しており、3-5年かけて増やしていく。投資対象は300社程度とみられる。これまで東証1部上場の企業を幅広く買ってきたが、ESG投資への本格参入で裾野を広げ、成長持続を後押しする。
公的年金、選別投資に3兆円 環境や企業統治重視

ガバナンスの重要性

表面化するのは環境・社会問題としてだが、GがしっかりしていればEもSも大丈夫だろうと判断できるからだ。資産運用は将来に向けてやるものなので、いつ露呈するか分からないリスクの回避にもベストを尽くすことが専門家には求められる
巨鯨GPIFのESG投資に朗報、海外の先行事例は意外に健闘

情報開示の促進

GPIFはESG評価について、財務分析とは異なり、現時点ではスタンダードとなる評価手法は確立されておらず、必要な情報の開示も十分とは言えないとみている。今回採用したFTSE社とMSCI社のESG評価の相関関係も緩い相関にとどまっていると指摘。ESG評価の精度向上には「企業側の情報開示の促進」と「評価手法の改善」が不可欠だとの見方を示した。
GPIFのESG投資、1兆円規模で開始-長期的収益向上目指す

適切な項目の開示

・80%以上の投資家が企業は適切にリスクを開示していないと回答
・投資家は投資判断において非財務情報を財務情報と同じように重視
・CEOのビジョンや戦略、ビジネスにおける長期的な価値創造シナリオの開示が求められている
投資家の大多数が企業のディスクロージャーに失望 第3回 サステナビリティ投資家調査

投資家視点のKPI

投資家が求めるESGに関するKPIについて、本サンプルの特徴を確認したところ、製造業は非製造業よりも数多くのKPIの開示が求められており、環境だけに限らず、従業員や顧客など、いわゆる「S(社会)」に関するKPIも多いことが分かった。KPIの開示状況を確認すると、本サンプルでは、投資家が期待するようなKPIの開示については十分とはいえない。時価総額の大きい企業は投資家が期待するKPIを開示している一方、時価総額の小さい企業では、投資家の期待とは異なるKPIを開示している傾向が確認された。
企業によるESG情報開示の現状と課題~ESG情報開示支援サービスからの示唆~

ESG投資とSDGsのつながり

GPIFの指数の話は興味があれば各自で確認いただくとして、冒頭でもお伝えした「ESG投資とSDGs対応」について。

GPIFが日本株指数の「JPX日経インデックス400」に採用されている企業を対象に2017年2月から3月にかけて実施したアンケート調査では、「SDGsへの取り組みを始めている」と回答した企業が24%、「SDGsへの取り組みを検討中」と答えた企業も21%を占めました。
GPIF|ESG投資

このあたりの数字は東洋経済新報社のCSR調査データとも重なりそうです。「GPIFによるESG投資と投資先企業のSDGsへの取り組みは表裏一体の関係にあるといえるでしょう」というのは興味深い見解です。

GPIFがなぜかSDGsを猛プッシュしているので、国内の大手300〜500社はSDGs対応をより進める必要が出てきそうです。CSRサイドの対応と投資がより密接に動く世界がどうやらきたようです。「CSR担当者向けSDGsセミナー」は一巡したので、次は「IR担当者向けSDGsセミナー」はが流行るかもね。

まとめ

CSRって、CSR側だけでは国内企業に広がっていきません。投資家サイドからIRや経営企画が影響を受けてCSR活動が進むほうが、現実的な普及プロセスですよね。

企業は大きなお金が動くステークホルダー(投資家、消費者/法人顧客など)の意向にはすぐ反応することが多いです。そうなると、CSR活動も社内の他部門(メインはCSR/IR)の連携がより重要になりそうです。

数年前から動きのあったSDGsとESG投資の関係性が明確になりつつあって、CSR関連部門とIR関連部門との統合も近いのかも。統合報告書もただの“合本”が未だに多いのですが、SDGsを起点にしたストーリーテリングとか、ESG/CSR報告内容も根本から変わることがあったりして。引き続き動向をチェックしていこうと思います。

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執筆者:安藤 光展[→プロフィール詳細]