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IR界隈でCSR/ESGが注目され始めている件

IR-CSR-ESG

IR界隈でESGが注目される

CSR活動が企業価値向上に貢献することができるのか。

2016年は上場企業でIR方面からESGというワードがよく出てきて、監査法人や証券会社からもCSR情報開示のアドバイスが増えているようですね。しかし経済合理性や体裁を目標・ゴールとする担当者も多くて、その先にある企業価値へのインパクトを見逃していることがほとんどな気もしてます。

つまり、IR担当者もCSR担当者もこのダブってる領域に関して、情報収集がどっちつかずであいまいになっていてるのではないかと。そもそも「企業価値」ってCSR界隈でもよく使われるようになったけど、きちんと定義を理解して使っているのでしょうか。

というわけで本記事では、CSR担当者が把握しておくべき、IR/ESG関連の調査やデータをまとめます。ここにまとめたをチェックするだけでもそれなりに現状把握ができると思います。

IR優良企業賞

第21回「IR優良企業賞」発表(PDF)

14日に発表になりました「第21回 IR優良企業賞」(2016)を紹介します。今年の傾向は以下のようなものだったそうです。

投資家との対話を経営戦略の策定などに活かした上で、資本生産性や効率性に関わる長期目標を明示するとともに当該企業の経営ステージに即した説得性のある企業価値向上プロセスを説明している
経営の監督などコーポレートガバナンス全体の考え方、枠組みを策定した上でIR活動において公表し、ESG(環境・社会・ガバナンス)情報など非財務情報の発信も工夫して、個人を含めた株主・投資家の理解を深めようとしている

また審査委員長の北川氏は「ESGなどの非財務情報を活用して企業価値の創造ストーリーを市場に説明するよう努め、市場からの高評価を得た。」と語っているとのことで、IR界隈でもやっとCSRやESGという考え方が浸透してきたように思います。

ちなみにCSRとESGの差ですが、CSRは概念、ESGはカテゴリー、と理解しておくとよいでしょう。

優良企業大賞は、住友金属鉱山と東京海上ホールディングス。優良企業賞は、SCSK、カルビー、小松製作所、J.フロントリテイリング、塩野義製薬、日本精工、富士重工業、が選出されてます。他の特別賞・奨励賞などはリリースを確認してみてください。

IR活動の実態調査

IR支援会社を利用している企業のうち、最も利用しているサービスは前回同様「会社説明会全般のサポート」51.3%だった。次いで、実質株主の把握のためやいわゆるIRターゲティングに使われる「株主判明調査」50.9%と、非財務情報開示のツールとしての「アニュアルリポート・統合報告書の作成」41.4%が、前回に比べて上昇した。
今後活用したいサービスとしては「アニュアルリポート・統合報告書の作成」12.1%が最も多く、以下、「株主判明調査」10.7%、「説明会資料の質向上」10.0%などが挙げられた。
(日本IR協議会 2016年度「IR活動の実態調査」 ニュースリリース、より引用)

IR活動は専門ではないので言及しませんが、上場企業のIR領域でも統合報告書のニーズがかなり高まっているようです。僕も色々なCSR関連のセミナー・研修講師をしますが、名刺交換をさせていただくときにCSR報告書から統合報告書への移行を検討している企業の多さを感じています。やっぱそうなんだ。

こうなるとCSR担当者としてはIR担当から色々な質問や相談が飛んでくると予想されますので、このあたりの状況も把握しておいたほうがいいでしょう。

そもそもCSR担当者がいなくてIR部門だけで統合報告書の冊子制作をする企業もあるそうで、そういうところの非財務領域の表現は〇〇なものが多いですね。残念ながら作っている人がCSRを理解していないのだから、読者に自社のCSR活動の価値を伝えられるはずがないのです。

ごくまれに、優秀なIR支援会社の担当者がついてくれて、高評価な冊子を作る企業もありますがレアケースでしょう。

実証データ

以下、僕がCSR関係者なら読んでおきたいデータ、意識調査、オピニオンなどです。どれもIRの専門知識がなくても読めます。

ちなみに企業事例では東急不動産ホールディングス「ESG投資家の皆さまへ」のように、CSRコンテンツ内に個別ページを作っているのもあります。この“CSRコンテンツ内にIR関連情報を掲載”という事例は非常に興味深いです。この傾向って今後増えるのかな?

証券取引所非財務情報開示度ランキング。東証は世界28位と不振、アジア内でも6位
環境情報開示基盤整備事業ポータルサイト
企業倫理を重視したESG投資マネジャーに聞く
最新!「CSR高成長ランキング」トップ30社 市場平均を大きく上回る株価上昇を見せる
SASB、機関投資家向けに「エンゲージメント・ガイド」を発行
JICA、社会貢献債200億円 途上国開発資金
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ESG投資をリードしてきたPRIの行方 〜PRI in Person 2016参加レポート〜
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まとめ

IR領域においてESGというワードがよくでるようになった2016年。2017年は色々な動きが本格化するみたいです(関係者談)。

もちろんESG的な“見せ方”がうまいだけでは意味がありません。この記事をお読みのあなたも、コンプライアンスやコーポレートガバナンスの制度と開示が世界トップレベルな企業で、コンプラやガバナンス不備による不祥事の例を見てきたはずです。

色々な論文や識者の発言を見聞きする限り、CSR活動が株価へポジティブな影響があるかといえば、あるんでしょうけど、現状、明確な因果関係も証明できないし、因果関係があったとしても微々たるインパクトである、というのが国内の見解だと思います。2017年はどうなるのかな?

2017年は、CSR関連部門はIR関連部門としっかり連携をとって企業価値向上に貢献しうるESG情報開示をしていきましょう!

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執筆者:安藤 光展[→プロフィール詳細]

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