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マテリアリティ特定プロセス–国内の社会情勢を反映する意味

CSRマテリアリティ

マテリアリティ特定プロセス

今週「平成28年版 厚生労働白書」が発表となりましたのでシェアします。

各官公庁が白書的なものを毎年発行していますが、厚生労働白書は昨今のCSR的な要素が多いものの一つです。

で今年のサブタイトルは「人口高齢化を乗り越える社会モデルを考える」です。去年の「人口減少社会を考える~希望の実現と安心して暮らせる社会を目指して」と方向性は同じです。参考までに5年くらいみてみましょうか。

平成28年 人口高齢化を乗り越える社会モデルを考える
平成27年 人口減少社会を考える~希望の実現と安心して暮らせる社会を目指して
平成26年 健康長寿社会の実現に向けて~健康・予防元年
平成25年 若者の意識を探る
平成24年 社会保障を考える

こうやってみると、まさに世相を反映しているといえるかもしれませんね。おっと、サブタイトル談義をするのが本記事の目的ではありませんので先に進みたいと思います。

第2部 現下の政策課題への対応

「厚生労働白書」は、企業担当者としては第1部より第2部のほうが気になる項目が多いかと思います。というわけで第2部の目次をピックアップ。

特集1 一億総活躍社会の実現に向けて
特集2 平成28年熊本地震への厚生労働省の対応について
第1章 子どもを産み育てやすい環境づくり
第2章 経済社会の活力向上と地域の活性化に向けた雇用対策の推進
第3章 安心して働くことのできる環境整備
第4章 自立した生活の実現と暮らしの安心確保
第5章 若者も高齢者も安心できる年金制度の確立
第6章 医療関連イノベーションの推進
第7章 国民が安心できる持続可能な医療・介護の実現
第8章 健康で安全な生活の確保
第9章 障害者支援の総合的な推進
第10章 国際社会への貢献と外国人労働者問題などへの適切な対応
第11章 行政体制の整備・情報政策の推進

先日まとめた記事「国家施策としてのCSR推進–国内のマテリアリティ動向」にも書いた国の戦略に対して、厚生労働省としてどのように対応するか、みたいな話です。

日本ではCSR自体は法律になってませんが、「コーポレートガバナンスコード」みたいなガイドラインを含めて、女性活躍推進法みたいに人に関する領域はどんどん法制化が進んでいるので、CSRをあんまり舐めないほうがいいですよ〜。

経済産業省

企業サイドの意向が強くある経済産業省でも色々なCSR施策を実施しています。

たとえば「企業会計、開示、CSR(企業の社会的責任)政策」という経営系の枠組みで「CSR研究会」なる組織を作り、議論を行っているということ。委員の顔ぶれを見ると、まぁ、有名どころの先生方ばかりで…。企業サイドもたいしてCSR評価が高くない企業から超優良企業までピンキリでCSR責任者が参加されているようです。今後の展開に注目です。

企業会計、開示、CSR(企業の社会的責任)政策

他にも「産業人材施策」でもCSRに深く関わってくる取り組みがされていますのでチェックしてみてください。

産業人材施策について

まとめ

僕の予想ですが、今後の「マテリアリティ策定」のプロセスにこの官公庁の掲げるCSR関連課題や現政権下における政策などが加わってくると思っています。

毎年100冊を超えるCSR報告書をチェックしますが、たぶん、国家政策をマテリアリティプロセスに組み込んでいる企業ってまだない気がします。

今でいえば、グローバルな枠組みであるSDGsが“流行り”ですが、まず世界の話の前に日本の課題をどうにかしろや、みたいなことも思うわけです。従業員も顧客もステークホルダーの多くが日本人なのに、その日本を通り越して世界って、ちょっと日本を舐めすぎというか…(もちろんグローバル対応は大切です!)。

マテリアリティはCSR活動の根本となる超重要な概念ですので、ステークホルダーとのエンゲージメントを強めるために、本日紹介させていただいた日本社会の潮流も把握する必要があります。上記の情報が、御社のマテリアリティの特定・分析のヒントになれば幸いです。

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執筆者:安藤 光展[→プロフィール詳細]