「GRI/G4」から「GRI/Standards」へ–CSR報告ガイドライン競争に終止符を打てるか

CSR-GRI

G4からStandardsへ

CDP、GRI、IIRC、ISO、SASB、CDSB、FASB、IASB。

このアルファベットの並びを見てピンときた方は、CSR報告熟練者です。これらは、CSR報告に関するイニシアティブやガイドラインの略称です。

で、先日、CSR報告の国際ガイドライン「GRI」についての最新情報が色々と衝撃的だったのでシェアします。

やっと「GRI/G4」に対応できたと思っている大手企業は多いですが(これから対応する所はもっと多い)、2016年末までに「GRI/Standards」なる実質「G5(第5版)」が発表されるとか…。結論としては、GRIスタンダードはGRI/G4がベースになるから、G4対応が遠回りになることはなさそう、ということです。

GRI/G4との整合性

すでにG4ガイドラインへの対応を進めている企業にとっては今後の情報開示への影響が気にかかるところですが、GRIスタンダードはG4ガイドラインをベースに策定され、GSSBがGRIスタンダードへの移行を承認するまでは現行のG4ガイドラインが有効であるということを考慮すれば、短期的には大きな影響は及ぼさないと考えられます。
GRIによるサステナビリティ報告基準の検討

記事では、「EUの非財務情報開示義務化」との関係性にもふれていますが、2013年にGRI/G4が発表されて早足で2016年に新基準というのは、まさに“2010年代のCSR報告大波乱時代”を象徴する出来事とも言えるでしょう。

新ガイドラインがG4ベースなのであれば、2016年発行分のCSR報告書まではGRI/G4準拠で、2017年発行分の準備期間を経て、2018年発行分のCSR報告書からGRI/スタンダード準拠および参照、という流れなんですかね。

GRI/G3の古い規格は2015年12月までしか利用できないとかで、2016年発行分で急いでG4対応をする企業が増えている、あの「強制移行問題」はこれによって解決できるかも?

そんなわけないか。地道に対応していくしかないですね。

レポーティング2025プロジェクト

・企業は過去のどの時点にも増して、説明責任を問われることになる。
・ビジネスの意思決定者はサステナビリティの問題をより深く考慮するようになる。
・科学技術の進展によって、企業やステークホルダーはデータにアクセスし、照合し、チェックし、分析し、相互に関連付けることができるようになる。
・科学技術の進展によって、企業は事業運営とレポーティングを高度に統合できるようになる。
・倫理的な価値、レピュテーションやリスクのマネジメントに基づいて、意思決定者が行動するようになる。
・新たな指標(KPI)が出現する。
・報告書の作成は、規制対応と自主的なプロセスの両方に起因する。
・サステナビリティのデータはデジタル化され、年次ではなく逐次報告されるようになる。
GRIが2025年のサステナビリティとそのレポーティングのトレンドについての分析報告書を発行

どれも確かに今後の大きなCSR報告のトレンドになっていくと感じています。「サステナビリティのデータはデジタル化され、年次ではなく逐次報告されるようになる。」は、CSRコンテンツの拡充と逐次報告についてのものだと思いますが、これが一番顕著にCSR実務に響く気もします。

CSRデジタルコミュニケーションは、今後のCSR報告で非常に重要になるということでしょう。僕は、ここが逆に専門領域になるので、この流れは大歓迎です。「最新情報」はステークホルダーエンゲージメントの重要なファクターですし。

GRI Sustainability and Reporting Trends(PDF、英語)

まとめ

GRIの参照・準拠は、統合報告とは違い、投資家サイドを純粋に意識したものではありませんし、やはり、どのステークホルダーの何の評価を得たいのかを最初に決めないと、適切なCSR/ESG情報開示はできないでしょう。

CSR報告書制作の担当者が、GRIの開示対応に追われるのはしょうがない部分もありますが、あくまでも、情報の受け手であるステークホルダーの情報ニーズを最優先させる必要があります。

状況によっては、CSR活動計画などでも使われている ISO26000 を重要指標としたほうがわかりやすい場合もありますので気をつけましょう。この動きは引き続きウォッチしていきます。

GRI(日本語)



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