ESG/SRI投資動向と市場規模–2014年は21.5兆ドル(2015)

CSR投資

ESG/SRI投資動向と市場規模

ESG(SRI、社会貢献含む)に積極的な企業に集中投資する資金の残高は、全世界で約21兆ドル(約2,500兆円)に達していると言われています。

2,500兆円あったら、缶コーヒー何年分買えるのでしょうかでしょうか。一般市民には桁が大き過ぎてよくわかりません。

CSR担当者でもESG投資の流れを意識する人たちは確実に増えています。正直、もうそれはIR担当の領域で、CSR担当者が業務領域を広げすぎないほうがいいと思う時も多いです。あなたは投資家ではなくCSRの現場に意識向けなさいよ、みたいなね…。

というわけで、2015年上半期の状況を中心に、もろもろまとめたいと思います。

世界全体のSRI市場

2014年の世界全体のSRI市場の規模は約21.4兆ドルで、2012年時点の約13.3兆ドルから61.1%拡大している。手法別では、投資の意思決定に財務情報だけでなくESG情報も考慮するインテグレーションの市場規模が、2012年の約5.9兆ドルから2014年には約12.9兆ドルへと2倍以上に拡大していることが目立つ。
企業はESG情報の開示として「地球温暖化防止」など個別の項目を重視しているようであるが、投資家はガバナンスやトップメッセージなどの企業経営の根幹に関わる情報を重視しており、コーポレートガバナンス・コードの導入もあって、企業価値の創造プロセスとの関係を考慮したガバナンス情報の開示の充実がますます求められるのではないだろうか。
ESG情報の開示と投資への利用の現状と課題 投資家が望むのは、企業価値の創造プロセスの開示

大和総研グループのレポートですが、SRI/ESG投資の市場規模がたった数年でえらい伸びているようです。また、本レポートでは経産省の調査を引き合いに出し、統合報告以外の方法でも投資家にアプローチできる可能性を提言しています。

経済産業省によるESG情報に関する企業と投資家への調査では、投資家はESG情報の取得先として統合報告書を選んだ割合が高いが、現状では、統合報告書を作成している企業は限られている。統合報告書という媒体だけでなく、CSR報告書の作成やホームページでのCSR活動の報告などに、ESG情報と経営戦略や企業価値を結び付けた情報開示を行うことでも、投資家のESG情報に対するニーズにある程度は応えることができるのではないだろうか。

投資家にどのような情報開示を行なうか、というのは正直CSR担当者だけで決めたりするレベルの話ではありません。だからこそ、統合報告では「統合思考」という考え方が提示されているのですが、現実には……おっと、このへんにしておきましょう。

サントリーのESG経営

サントリーCSR

サントリー|グローバル企業に求められる「ESG経営」

先日、サントリーのCSRコンテンツを見ていて、ふと発見し興味深く読ませていただいたダイアログのレポートです。

国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP-FI)の末吉さんと、サントリーの方とのダイアログですが、サントリーって未上場だしESG(投資サイドの人たちがいうCSR)を気にする必要あったっけ?と一瞬思いましたが、グループ会社は上場してますもんね。また資金調達という意味でも重視している、ということなのかもしれません。

ただ「サントリーグループ CSRレポート」(2015年6月、詳細版)の、ステークホルダーマップ(上図参照)には、投資サイドの絵がないし、ダイアログだけでESG経営の話をされても、読者はどう理解すべきなのかが難しいです。言っていることも投資の話はおいておき「CSR経営とCSV」とした話ならつじつまがあったような…。難しいっす。

化石燃料産業からの資金の引き揚げ

世界最大規模の石炭輸出港を持つオーストラリア南東部ニューサウスウェールズ(New South Wales)州の都市、ニューカッスル(Newcastle)が8月下旬、化石燃料産業への資金を引き揚げ、持続可能な事業への投資に重点を置くことに転換する方針を発表した。2億6800万豪ドル(約220億円)の投資資金を運用するニューカッスル市議会は8月25日、「環境的・社会的責任のある投資」へ積極的に移行していくことを投票で決定した。
石炭都市「緑の未来」目指し投資移行 オーストラリア

今年になって本格的に聞くようになった「化石燃料産業からの資金の引き揚げ」の話題です。

引用した記事の通りなので、僕がどうこういうこともありませんが、エネルギー系企業とか、今後苦戦する所も増えてきそう。日本ですぐにはないかもしれませんが、大きな話題になるのは時間の問題でしょう。

女性が投資基準になる

テーマが女性にせよ、環境ないし人権にせよ、SRIは懐と良心を同時に満足させる手段だ。女性幹部の多い企業への投資は女性登用を促すのに役立つかもしれないが、利益を上げる手段でもある。
女性フォーカス型ファンドは大半が運用資産1億ドル未満の小粒ファンドだが、SRIの広がりに伴って成長するだろうと、USトラストでシニア・バイスプレジデントを務めるジャッキー・バンダーブラグ氏は話した。
「女性」を狙え、一石二鳥ファンドは成績も好調-狙う方法はいろいろ

ブルームバーグの記事ですが、「ジェンダー」が投資銘柄を選別する際の指標になり得るという視点だそうです。本当に海外からの投資マネーを引っ張るとすると、ESG/SRI投資の視点は、今後さらに重要になっていきそうです。

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まとめ

世界的にはESG投資はものすごい成長率で加速していますが、日本では…スチュワードシップコードやコーポレートガバナンスコードなどで、今後は少なからず盛り上がることでしょう。

日本の統合報告の普及も、この流れを意識しているものですし、今後はよりIR視点のCSR活動およびCSR報告が必要となります。部門間の壁を超えて、CSRとIRでの「統合思考」が進み、企業価値としてESG情報の適切な発信ができるようになった時、企業は海外マネーの本格的な呼び込みができるようになるのかもしれませんね。

余談ですが、CSR支援会社が続々とコッチの方向に流れてるのが、個人的に気になる今日この頃です。別に僕は構いませんが、あまりよろしくない噂ばかり聞くんですよねぇ…。ということで、今日はこのへんで。



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