CSR経営

CSR経営とは、そもそも何を指すのか

献本いただきました、「CSR経営-パーフェクトガイド」(川村雅彦、ウィズワークス)の読書メモを。

本書では、グローバルな世界的なCSR動向を述べて終わり、という従来のCSR関連書籍ではなく、日本企業の担当者がわかりやすい形で書かれており、非常に実践的な内容となっています。

「本来のCSRを経営に落とし込む方法」という項目もあり、ざっと眺めるだけでも、自社のCSR評価の確認に役立つフレームワークが見つかると思います。

CSR経営って、そもそもCSRは経営とイコールであり、ダブルミーニング(「白い白鳥」とか)と感じる部分もあるのですが、CSR関係者向けとしては、このタイトルがベストなのかもしれません。

実は、著者の川村雅彦さんのCSR認識に、僕の考えが非常に近いんです。特にCSVあたりの考えは。別にCSV否定論者ではないのですが、経営におけるマイナスの側面にほとんど言及せず、「機会とリスク」(攻めと守り)でいう“機会”の部分にフォーカスするコンセプトであり、それだけでCSRが代用されるものではないと。

とにかく多くの人たちは、CSVもCSRを狭義で捉えすぎていると僕は感じており(お前が言うな)、CSRを俯瞰しつつもマテリアリティという細部にフォーカスするという、思考の柔軟性が重要だと思っております。

そう意味で本書は、CSR経営とは何かを丁寧に解説しており、非常に網羅的な内容となっていて、どのCSR進捗フェーズであっても読んで損はないかと。

各種CSR関連ランキングなどで一喜一憂するのが悪いとはいいませんが、CSR経営におけるメリット・デメリットをきちんと理解し、ステークホルダー・エンゲージメントの意味を把握し、予算とか採算ばかりを指標とせず、中期経営計画に盛り込む。

経営戦略・経営計画の中にCSRがあるかどうかは、最終的にトップ・コミットメントがあるかないか、ということに尽きます。手元に置いておき、時々読み返したい、そんな書籍でした。

CSR経営-パーフェクトガイド

2010年のISO26000発行を契機に、CSRのグローバルスタンダードが確立し、日本のCSRは今、岐路に立たされているという。本書では、日本のCSRの歴史から、グローバルに通用する本来のCSR経営の在り方を説く。さらに、数々の企業でCSRのコンサルタント業務を行っている著者だからこそ分かる、本来のCSR経営をどのようにして経営に落とし込むか、その実践的な手順を丁寧に解説。企業のCSR担当者だけでなく、経営者をはじめとする全てのビジネスパーソンが押さえておくべき、今後10年続くCSR経営の基本の1冊となるだろう。