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企業寄付/法人寄付における4つの課題

寄付課題

寄付における企業の課題

先日「寄付月間」の公式イベントの企画・実施をしてきましたし、改めて寄付について考えたいと思います。

寄付って重要なんですけど、企業が積極的にする意味ってあるのかな?と思う今日この頃です。2011年以降、特に企業寄付や超富裕層の寄付などがメディアでも話題になりましたけど、結局、社会は変わりました?社会課題はなくなりました?と。

僕自身も社団法人を経営してまして、NPO(ソーシャルセクター)の気持ちはわかるのですが、企業の支援をさせていただくビジネスセクターにいると、なかなか意義や意味を寄付行為に見出せないという現実や、寄付に対する課題なんかが見えてきていて…。

というわけで、本記事では寄付の課題についてまとめます。

企業の寄付事情

寄付白書

・法人寄付は6,986億円
・総法人数の16.2%が寄付支出
・寄付カテゴリの人気トップ3は、「教育・研究(34%)」「文化・レクリエーション(19%)」「被災地支援/社会サービス(14%)」
(「寄付白書2015」より抜粋し引用)

詳しくは寄付白書を参照いただきたいのですが、企業寄付のマーケットはあまり変わらず“ほぼ横ばい”です。

毎年のように大きな災害が国内で起きているのですが、東日本大震災(東北エリア)がいまだに復興支援では人気のエリアです。ほかのエリアには申し訳ないですが、めっちゃ差があるように感じています。関東圏メインの企業は西日本より東日本のほうに寄付している金額が圧倒的に多そう。

経団連

企業の社会貢献活動に係る支出合計額は1,804億円で、社平均支出額は前年度比10.2%増の5億4,000万円となった。1社平均支出額は3年連続で増加。
東日本大震災関連支出は63億円、1社平均支出額は1,900万円で、東日本大震災関連の復興支援活動に対しても継続的な支出がみられる。
※金額は「各種寄付」「自主プログラム」「被災地関連支出」の合計。
「2015年度社会貢献活動実績調査 社会貢献活動支出額」(経済団体連合会、2016)より抜粋し引用

東日本大震災の復興支援は丸5年がたち多くの企業は支援から手を引いていますが、ビジネスライクなおつきあいや、企業連合の支援プログラムに関わっているところはまだいるようです。日本版BoPビジネス(地域活性化系ソーシャルビジネス)なんて言われてますが、多くの企業は失敗、もしくは鳴かず飛ばず。

もちろん、失敗が多いというのは企業にとっても研究開発(新規事業開発)の意味もあるので、成果はゼロではないもの、単純な寄付はもう大手企業以外はほとんどされてないようだし、さてどうなることか。

企業寄付の課題

たとえば、ざっくりいうと、企業サイドでは以下のような寄付の課題があると感じています(2011年以降の数百社の企業担当者のヒアリングの感想、寄付は必ずしも金銭であるとは限らない)。

1、受益者グループが偏る(有名なNPOにしか寄付しない)
2、ニーズに応えきれない(送りたいものを送りがち)
3、インパクトにつなげられない(長期支援にコミットメントできない)
4、局面の把握ができない(被災地に本を寄付し続け地元書店を壊滅させた)

寄付白書にもあったとおり、寄付には人気のカテゴリーとそうではないカテゴリーが現実には存在します。また“鶴の一声”で始まる寄付の場合(上場企業や大手に多い)、最大手の中間支援組織等に資金が流れる傾向があります。

また、担当者レベルでは現場をリアルタイムで把握できず、「良かれと思って」が「ありがた迷惑」になることも多々あるようです。いわゆるミスマッチですね。

また、長期コミットメントが重要なCSRでも、担当者はいわゆる“サラリーマン”なので異動が定期的にあります。担当者が変わると、長期的なコミットメントも“反故”されたりすることもあるようです。

NGOとの3年以上の長期共同プロジェクトが実施できるのは超大手企業やすでに実績がある企業のみでしょう。通常は、1年でのコミットメントで終わることが多いです。難しいですね。

まとめ

ISO26000では「寄付は社会に良い影響を与えるがCSRに代わるものではない」と明言されてますし、ハーバード大のマイケルポーター教授なんかは「NPOや政府は予算消化しかせず寄付をしても富を再生産するわけではない(意味がない)ので企業はそこに深く関わる必要はない」的な話も各種インタビュー等でしていたと思います。

冒頭でも申し上げました通り「寄付自体は素晴らしいことだが企業が積極的に行う理由が見つかりにくい」という現状もあるので、企業サイドの担当者としては、どれだけ論理的に社内稟議を通すか、社外に説明責任(成果報告など)を果たすか、などが重要となるでしょう。

ただ、このあたりの課題はそんなに難しいものでもなく、実は基本的な枠組みを抑えれば簡単にプロセスを可視化できたりします。そのあたりの話はまた別の記事でまとめます。

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執筆者:安藤 光展[→プロフィール詳細]