CSRの最新動向・潮流と2016〜2017年の9つのトレンド(2015)

CSRトレンド

CSRのトレンド

CSR領域においてもトレンドは存在します。

デジタル・テクノロジーほどの移り変わりはありませんが、法制化も含めて1〜3年程度の流行があります。ここでは2016年以降のCSRトレンドについて紹介をさせていただきます。

個別項目

ISO 14001改訂

2015年9月に改訂された環境マネジメントの国際規格「ISO 14001:2015」。2018年9月までに移行審査を完了する必要があります。日経ビジネスオンラインによれば(※)、9割の企業が継続を前提とのことで、一部企業の見直しをのぞくほとんどの認証企業が改訂に向けた準備に動くようです。
内容としては、環境対策を経営レベルに取り込む戦略性(リスクと機会)が求められ、環境部門とCSR部門の統合が進み、CSRコミュニケーションにおける環境領域の情報の充実がポイントとなるでしょう。

※ 「ISO14001が大改訂、「環境ISO離れ」は克服できるか」(日経ビジネスオンライン、2015)

女性活躍推進

2015年8月に制定された「女性活躍推進法」。2016年4月1日から、労働者301人以上の大企業は、女性の活躍推進に向けた行動計画の策定や開示などが新たに義務づけられることとなります。
数年単位の中長期的な人事戦略が求められ、女性を中心とした組織におけるダイバーシティ推進や、ワークライフバランス向上、などを目指しES(従業員満足度)向上につなげる取組みがポイントになるでしょう。

ストレスチェック制度

2015年4月に公表された、改正労働安全衛生法による「ストレスチェック制度」の義務化。2015年12月から施行されました。2016年以降のCSR報告書にどこまで記載するか考えをまとめておく必要があります。
従業員のメンタルヘルス向上(健康増進)を、どれだけ企業価値向上戦略の中に組込めるかがポイント。女性活躍推進と会わせて、新しい評価軸の人事制度が必要になるのかもしれません。

SDGs

2015年9月に国連加盟国の全会一致で採択された「SDGs」(持続可能な開発目標)。2030年までの17分野・169項目の国際目標が決まりました。
とても広範囲な目標なので専門家等とのミーティングを継続的に行いPDCAまでブレイクダウンし、自社に関わるキーイシュー(業界特有課題)を抜粋して、マテリアリティ選定に組込む必要があります。またグローバル・イシュー・リストとして、マテリアリティ特定の良い指標となるでしょう。

サスティナブル投資(CSR/ESG/SRI投資)

2015年9月に、世界最大級の資産運用機関(約140兆円)である日本のGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)がPRI(国連責任投資原則)に署名しました。
企業への投資も積極的に進めると報道もありましたし、今後はCSR/ESG評価を前提とした投資が加速するため、IR担当者向けにCSR研修を行なう必要が出てくるでしょう。上場企業ではIRとCSRの部門担当者が連携し(統合思考)、コーポレートコミュニケーションの精度向上から、企業価値向上にむけたCSR/ESG情報開示戦略立案が必要になってくと思われます。

カテゴリー

サプライチェーン・マネジメント

事業上のリスクの多くがサプライチェーン上にあるとされており、製造業・非製造業問わず様々な企業で早急な対応が求められています。特にBtoB企業のCSRはサプライチェーン・マネジメントがとても重要な課題となります。
キーワードは、新興国での人権・労働問題、CSR調達、取引先の労働問題リスク、ステークホルダーエンゲージメント、グローバルリスク対応、キーイシューの特定、水リスク、気候変動対応、ISO20400(※)など。

※「ISO20400–持続可能な調達に関する手引き」は、2016年冬に発行見込み。ISO26000との親和性も高く、認証のない包括的なCSR調達(サプライチェーンマネジメント)のガイダンス規格になるようです。

従業員

世界規模での人権意識の高まりを受け、労働慣行を始め、先進国・新興国どちらでも従業員の人権・労働問題がより注目されることになります。
キーワードは、ワークライフバランス、女性活躍推進、労働問題全般、ダイバーシティ(マイノリティ)対応、人権の保護・尊重、メンタルヘルス、内部通報制度、CSR教育、CSRの社内浸透など。

非財務情報のディスクロージャー

「コーポレートガバナンス・コード」や「統合報告」の概念により「CSR情報のIR化」が進みます。CSRが“賢明なコスト”から“戦略的投資”とできるかがポイント。財務情報・非財務情報の統合的情報開示により、どれだけ成長性を描けるかも重要となります。
キーワードは、コーポレートガバナンス・コード対応、統合報告・統合思考、CSR報告書のローカライズ(英語版作成)、社会的インパクト評価、CSR活動の定量化、エンゲージメント(目的のある対話)、サスティナブル投資など。

環境(気候変動)

「COP21」(国連気候変動の会議)で、温室効果ガス排出削減等にむけた2020年以降の「新しい国際的な枠組み」が協議されました。「COP21」などの影響から、今後は大手企業に相応の“ノルマ”が課せられる可能性があります。即時性はないものの、気候変動(環境問題)への取組みは長期的なプランニングが重要であり、今後の環境戦略のファクターとして取り組む必要があります。

まとめ

個人、法人どちらにしても、全て人の目の前に「課題と機会」(リスク&オポチュニティ)が存在します。

サスティナブルな社会にむかって意思決定をしていくと、企業が決意を固め、実行することが重要なのです。

というわけで、2016〜2017年のトレンドを把握し、的確なCSR活動計画策定や、CSR報告書(CSRレポート)での情報開示を行なっていきましょう。



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