|カテゴリ:ガイドライン , フレームワーク

MDGsからSDGsへ–日本企業のCSRはどう変わる?

CSR-SDGs

新たなアジェンダ-持続可能な開発目標

25日午前(日本時間の25日夜)ニューヨークの国連本部では世界各国の首脳が参加する国連サミットが開幕し、全会一致で新たなアジェンダである「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals、SDGs、エスディージース)」が採択されました。

SDGsは、2030年までの世界の持続的な発展を目指して、社会の格差の解消や地球温暖化対策などを盛り込んだ新しい開発目標となっており、国際社会の目標として貧困削減などを目指す「ミレニアム開発目標(MDGs)」が2015年で達成期限を迎え、MDGsに代わる今後の目標(アジェンダ)として国連加盟国が貧困や環境など17分野169項目の具体的な達成基準を盛込んだものになる、とのこと。

途上国の開発課題が中心だったMDGsに比べて、SDGsは持続可能なエネルギーの利用拡大、海洋資源の保護、気候変動対策など先進国が自国での取り組みを求められる目標も多く盛り込まれているとのことです。2016年から2030年の新たな国際目標となる予定で、これから目にすることも増えるかも。

国連加盟193カ国の全会一致での採択ということで、安倍晋三首相も歓迎のスピーチをしましたし、日本企業にも国連グローバルコンパクト署名企業を中心として少なからず影響するんでしょうね。というわけで、あまり詳しくないですが、各種最新の報道をまとめて、日本企業がどのようにCSRとして対応すべきか考えてみましょう。

画像引用:持続可能な開発のための2030アジェンダ

MDGsからSDGsへ

SDGs以前の開発目標であるミレニアム開発目標(MDGs)は、「極度の貧困と飢餓の撲滅」、「普遍的初等教育の達成」、「環境の持続可能性確保」など、2015年までに達成すべき8つのゴール、21のターゲット、60の指標を掲げていました。

SDGsでは“17分野169項目の具体的な達成基準”を設定し、2030年までに世界を良くする指標となっていくそうです。アジェンダがトリプルボトムライン(経済、社会、環境)に統合され、企業側としても明確なCSRの指標として参照しやすくなっています。また、このアジェンダはISO26000と同じく、マルチステークホルダープロセスにより策定されています。

以下に詳しくまとめますが、17目標のうちいくつかは、日本国内でも重要なCSRミッションであるものもあります。「グローバルな超大手企業だけの話でしょ?」というわけでもなく、中小中堅企業も参加すべきアジェンダがあるのが特徴とも言えるでしょう。

参照:「持続可能な開発目標」~「誰一人取り残さない」世界を目指して

持続可能な開発目標の17分野

目標1、あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ
目標2、飢餓に終止符を打ち、食料の安定確保と栄養状態の改善を達成するとともに、持続可能な農業を推進する
目標3、あらゆる年齢のすべての人の健康的な生活を確保し、福祉を推進する
目標4、すべての人に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する
目標5、ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る
目標6、すべての人に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を確保する
目標7、すべての人に手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する
目標8、すべての人のための持続的、包摂的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全雇用およびディーセント・ワークを推進する
目標9、強靭なインフラを整備し、包摂的で持続可能な産業化を推進するとともに、技術革新の拡大を図る
目標10、国内および国家間の格差を是正する
目標11、都市と人間の居住地を包摂的、安全、強靭かつ持続可能にする
目標12、持続可能な消費と生産のパターンを確保する
目標13、気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る
目標14、海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し、持続可能な形で利用する
目標15、陸上生態系の保護、回復および持続可能な利用の推進、森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、土地劣化の阻止および逆転、ならびに生物多様性損失の阻止を図る
目標16、持続可能な開発に向けて平和で包摂的な社会を推進し、すべての人に司法へのアクセスを提供するとともに、あらゆるレベルにおいて効果的で責任ある包摂的な制度を構築する
目標17、持続可能な開発に向けて実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する

僕の印象では、CSR部内にNGO出身の方や国連や海外情勢に強い方がいる企業は、この話題に触れている気がしますが、現状、ほとんどの日本企業では、CSR報告書等でも言及されていないかな。そもそも、1つの企業で対応できる目標(課題)はなく、それこそ企業をとりまく様々なステークホルダーと協力しなければ、15年という期間において絶対に達成できません。

ですので、CSR活動としてどこまでブレイクダウンし日々のPDCAに落とし込むのか、という戦略と実行計画がポイントになるでしょう。

参照:持続可能な開発のための2030アジェンダ

持続可能な開発アジェンダ2030

企業が果たす役割は、持続可能な開発アジェンダ2030に明記されている。「零細企業から、協同組合さらに多国籍企業と多岐にわたる」という多様性が歓迎されている。企業はその創造力とイノベーション力を駆使し、持続可能な開発に関する課題の解決を図る積極的な役割が期待されている。企業の活動・投資・イノベーションが、高い生産性・インクルーシブな経済成長・雇用創出を推し進めると認識されているのだ。
持続可能な開発目標(SDGs)が掲げる17目標は2030年までに世界を変えうるか

文字通り企業の力が世界中から求められているわけですが、ドメスティックなインパクトがメインの日本企業も多いし、どこまで事業とSDGsとの整合性を持てばいいのでしょうか。

SDGsは、従来の文書と比べ、明確かつ適用性が高い。これは企業の代表者を含む多様なステークホルダーによる参加型交渉を積み上げた成果といえる。全体を通し、持続可能な開発における経済、社会、環境の3側面のバランスを取ることを目指している。すべての国とステークホルダーが連携し、行動計画の遂行において協働することが求められている。
持続可能な開発目標(SDGs)が掲げる17目標は2030年までに世界を変えうるか

僕でもわかる所からいうと、いわゆる「ステークホルダー・エンゲージメント」の延長とのイメージです。ただ現実問題として、この17目標をCSR戦略に組込めるのは日本企業でどれくらいあるでしょうか。CSRのフレームワークのみで対応できる範囲ではもはやありませんし、一部の大企業がなんとなく参照するくらいで終わりそうな気がします。

まとめ

MDGsからSDGsへ。日本は総理大臣演説もしましたし、国連加盟国の193ヶ国の中でも先進国と言われる国ですし、無視し事業活動を行なうことはよろしくありません。

まだ採択されたばかりですが、早ければ来年発行分のCSR報告で言及する企業が出てくるでしょう。そういった企業の活動や開示の事例をみながら、2030年に向けてすこしずつでもいいので動いていきましょう。



セミナー案内:更新済み2017年12月以降のCSRセミナー[→詳細]

執筆者:安藤 光展[→プロフィール詳細]