コンプライアンス違反倒産

コンプライアンス違反事例

帝国データバンクから「2014年度 コンプライアンス違反企業の倒産動向調査」が発表されましたのでシェアします。

コンプライアンス対応がCSRなのか、という意見の方もいると思いますが、企業体として最も基本的な部分でもあるので一度振り返っておきましょう。

ちなみに、CSR界隈では、コンプライアンスは「法令“等”遵守」という解釈が進んでおり、法律に反しなければ何をやっても良いではなく、適切な経営倫理観をもち、社会のニーズに応えるべきという発想が徐々に浸透しているイメージがあります。

そもそも日本の法律がビジネスの実態にあっていないのになぜ従わなければならないのか、という反論は別問題なので一旦スルーします。

コンプライアンス違反倒産事例

レポートでは主な倒産事例として、4社挙げられているので引用させていただきます。規模どうこうではなく、やはり嘘はいけないし、いつかバレるものなのだなと思いました。

【粉飾決算】
マッハ機器(株)(2015年2月民事再生、負債16億1500万円)は、業務用電気フライヤーや、油ろ過機、グリルなどを販売。2011年11月に新代表就任以降、事業多角化に失敗し、資金繰りがひっ迫。電源装置メーカーと不明朗な金融取引(融通手形)を行うことで資金調達していたが、同社が倒産したことで連鎖した。

【粉飾決算】
(株)曽束(2014年5月破産、負債30億円)は、大手メーカーの指定問屋として業容を拡大するなど、業界中堅の老舗業者として相応の実績と知名度を有していた。しかし、リーマン・ショックの影響で業績が悪化。厳しい経営環境が続くなか、代表が会社資金を無断で海外送金するなどの問題が発覚し、社内が混乱していた。2014年3月に外部より新代表を迎えるものの、従業員からの反発が激化するなか事業を停止。

【業法違反】
城南チエン勧業(株)(2014年9月破産、負債8億5300万円)は、地元商店を対象と したクレジット事業を手がける協同組合の別部門として設立。主として会員に対するキャッシング事業を展開していた。しかし、景気の低迷で会員数が減少するなか、2011年4月に関東財務局より、管理体制の不備などを理由に貸金業法に基づく業務改善命令を受け、業容が大幅に縮小。

【資金使途不正】
長崎出版(株)(2014年9月破産、負債12億1000万円)は、人気シリーズ 生み出したことで事業規模が拡大。同コンテンツより得た収益を本業外の分野に相次いで投資していたが、いずれも計画通りには進まず、回収不能の状態に陥っていた。加えて、これらの案件は同一人物からの紹介であり、投資をうたった実態の伴わない支払いも散見。

参照:2014年度 コンプライアンス違反企業の倒産動向調査

コンプライアンス違反倒産の総括

・2014年度の「コンプライアンス違反倒産」は219件判明。前年度比4.8%増で、過去最多を更新。2010年度から5年連続の前年度比増加
・違反類型をみると「粉飾」が前年度比69.2%増の88件となり、過去最多。複数の融通手形事件に伴う連鎖倒産が影響したと見られる
2014年度 コンプライアンス違反企業の倒産動向調査

また調査をした帝国データバンクは、「景気回復局面において企業は、増加する仕事量に対して資金繰りや社内体制強化が追い付かなくなる傾向にあり、粉飾決算や不透明な資金操作、法令違反などが明るみに出やすく、倒産に直結する信用問題や財政難に陥る可能性も高い。」と、その傾向をまとめています。

しかし、「コンプライアンス違反倒産が過去最多」って…。残念すぎます…。適正労働環境にしたら赤字になりました、っていう会社もヒドいもんですが、粉飾決算で倒産って…。

法務担当者が戒めにレポートを読むというより、CSR担当者の、コンプライアンスやコーポレートガバナンスの重要性を知る資料としての価値が高いと思われます。コンプライアンス規定を作り宣言し社内教育や体制を整えた所で、不正をしようと思えばいくらでも出来うる環境を放置してもしょうがないですからね。

CSR委員会でもコンプライアンス委員会でも組織は何でもいいですけど、経営者を含めた従業員全員で意識を高めていきましょう。

まとめ

やってはいけないことをしてしまう。会社が不調だったり、逆に好調すぎると、監査(ガバナンス)もザルになり、善悪がつかなくなってしまうのかもしれません。

CSRでコンプライアンスや、コーポレートガバナンスがなぜ重要と言われるのか、これらの事例ではっきりすると思います。

嘘はいつかバレます。コンプライアンス違反という会社倒産にもつながる重大な過失は、究極的なリスクであり、企業体として健全であるためには絶対守らなければならない(リスクヘッジ)ものなのです。

CSRはしなくてもいい、CSRは重要視しなくていい、という企業経営者はたくさんいますが、僕はリスクヘッジのフレームワークとしてもすぐれているCSRをなぜしないのか疑問しかありません。(その推進レベルは別として)

あなたの会社は、法律違反を監視する仕組みがありますか?大事になる前に、その他の項目を含めて自社のCSRを見直してみましょう。

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