ダイバイーシティで強い会社に

今回は「会社の未来は女性が拓く!」(植田寿乃、日本経済新聞出版社)の読書メモを。

キャリアコンサルタントを15年している著者の、女性の企業でのキャリアの積み方について書かれています。僕は、女性ではないので、現場の感覚のすべてはわかりませんが、「企業戦士ガンダム女」のくだりは興味深く読ませていただきました。

事例が豊富というよりは、著者の幅広い経験をまとめたエッセイみたな感じ。個人的には、事例がもう少しあると具体的にイメージがしやすかったかな。エビデンスが足りないというか。

ダイバーシティなんとか、と言っていますが、いわゆるジェンダー・ダイバーシティの話です。外国人・障害者・高齢者の話は出てきません。タイトル通りといえば、それまでですが。

僕は社会人になって10年くらいですので、その前の企業の現場は知りません。僕が新卒入社した企業も同期の半分近くは女性でしたし。

そいう意味では、1990年代の状況から、2000年代で徐々に変わってきて、2010年代前半で、政府の後押しもあり、女性活用が大きく進んできたコンテクストを知るにはよい本だと思います。ダイバーシティ経営の歴史というか。

ただ、個人的にはですが、2014年はこの手の本が色々発売されているのですが、著者が女性で、ダイバーシティは女性の話、結論はリーダーシップ論、というお決まりの形すぎて、ちょっと物足りなかった印象です。もう少し、経済合理性やエビデンスの話が欲しかったです。

ダイバーシティ経営は企業に収益をもたらすが、従業員が幸せとは限らない」という記事も書いたのですが、リスクの部分というか負の側面について書かれた両面提示のオピニオンだと、よりよかったです。

人材分野のCSRを進めたい担当者、人事部、男性マネージャー、などに読んでもらいたいと思った一冊でした。

こういう本が話題になってくると、CSR領域でもどんどん変革が起きていくのかもしれませんね。

会社の未来は女性が拓く!

働くママを部長にすれば、組織は変わるんです。
アベノミクスの成長戦略の柱として、にわかに脚光を浴びている女性活躍推進。約10年にわたり、「女性と組織の活性化」「女性リーダー育成」をテーマに、さまざまな企業で研修を行ってきた女性活躍推進の第一人者が、女性社員の力をさらに活かし、組織を生まれ変わらせるためのヒントを語ります。

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