CSRコンサルティングの落とし穴と視点

CSRコンサルタントの言うことなんて、キレイごとばかり。そう言い切る人がいるのは残念なことですが、それも事実かもしれません。

所詮、CSRコンサルタント(社会貢献コンサルタント)は、サッカーでいうパスをする人。しかも、超正確で、シュートする直前までゲームメイクをしてパスをする人です。ゴールを決める(実行し継続していく)人は、企業経営者や担当者です。

今回は、理想論ばかりでないがしろにされがちな、CSR活動における気をつけるポイントをまとめてみました。

CSRコンサルタントでも優秀な人も、そうでない人もいますが、それらとは関係なく、以下の3点に注目し、自分たちの活動を振り返ってみてください。

CSRコンサルタントが考えている、CSRの3つの大事なこと

1、ES(従業員満足)

従業員満足(ES)と書くと、多くの人は給料の額や福利厚生などに関する条件的な問題だと感じるかも知れないがそうではない。自分自身の会社や商品、仲間について、思わず人に自慢したくなってしまうような、誇らしくワクワクした気持ちを感じながら働いてもらえているかどうかなのである。あなたの会社の従業員は、自社の製品を大好きだろうか?例え社員割引がなかったとしても自社の製品を喜んで買い求めるだろうか?家族や友人にも自信を持って勧めているだろうか?そして、何よりも、社長や上司や同僚や部下を尊敬し信頼し合って働いているだろうか?
(なぜ、「責任ある企業」が求められるのか? (第4回) -CSRで従業員満足(ES)の追及を!-より)

企業活動は、すべて従業員の行動から始まります。

その従業員が、自社のこと大嫌いで、すぐにでも会社を辞めたいと思う人ばかりだったら?

コミュニケーション、ガバナンス、コンプライアンス……その他様々なことがCSRという枠組みにあてはまりますが、企業が起点となる人を重視しない限り、CSR推進なんて夢のまた夢となるでしょう。

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2、顧客視点

消費者の立場からすれば、企業に対してCSRを要求すると、これまで外部化してきたコストを企業が公正に引き受け、適正な利益も上乗せした製品は、当然のことながら従来のものに比べて高価格になってしまうというジレンマがある。フェアトレードや最近急速に目にすることの多くなったエシカル商品といわれるものが、価格的には割高で、まだまだ一部の意識の高い消費者にしか支持されない理由がそこにある。
我々消費者の望みは(そして、多くの企業の望みも)、「最も低価格の製品が、地球や社会への悪影響が最も少ない製品でもある」ということだろう。筆者は、このような製品の実現こそが、”責任ある企業”のCSRでありCSVの理想の姿と考える。そして、このコンセプトが実現可能になれば、文字通り、安くて良いものを求める消費者の力が、同時に地球環境の保護や健全で公正な社会を維持するパワーとなり得るのである。
(なぜ、「責任ある企業」が求められるのか?より)

去年(2012年)は散々「儲けるCSR」論が語られた年でもあると思います。

しかし、「本業でCSR」というお題目も、すっぽり抜けているのが顧客視点です。そもそも社会的にニーズがないCSR活動を誰が求めているのでしょうか?社会的なことといいながら、顧客にメリットのあるCSR活動になっているのでしょうか?

極端な話し、10億円寄付をする企業力があるなら、その予算で主力商品・サービスの価格を抑えることはできなかったのか?

社会を広く捉えすぎてしまい、本来の企業活動の本質を見失ってしまうことも多いようです。

この視点でCSR活動を見れないCSRコンサルタントは、残念ながら盲目的なのかもしれません。

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3、思考停止

つまり社会問題の当事者が求めていない事も、僕らは社会貢献になると思うことがあるのでは、と。自分の価値観を押し付けているだけといいますか、 「支援したい」という感情には「他人を変えたい」という感情が紐付いているという印象。他人が変わろうとしているのを手助けしたい、と言いつつも何か押し付けに聞こえてならない。「他人と過去は変えられないが、自分と未来は変えられる」という格言ありますが、他人を変えることに視点を置き過ぎなのかもしれません。社会貢献はエゴ(自尊心を満たす行為)であってはならない。支援はどこかエゴであることを忘れてはいけないと思うのです。
(CSR的広告屋のつぶやき「Vol.38社会貢献の罠と、思考停止。」より)

CSR活動をしていく中で、自らの意識に縛られてしまい、本質を見落としてしまうことがあります。

自分が思う善が、当事者にとっても善であるはずと錯覚してしまう。思考停止の社会貢献は偽善にすらならないということ。

このあたりは、CSR活動をしている担当者に多く見られる傾向かもしれません。

CSRの歴史は「モヤモヤCSR →シブシブCSR →儲かるCSR」である

まとめ

いかがでしたでしょうか。

CSRコンサルタントがどうこうという話だけではないのかもしれませんが、現場でもそうでなくても、思考は一方に偏る傾向があるので、それを知った上で行動をとる必要があるようです。

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