CSR報告書の報告書

毎年、春ごろに勝手にまとめている「CSR報告書の報告書まとめ」のお時間がやってまいりました。

2014年4月から新しくCSR報告書製作担当者になった、あなた。こんにちは。自称・CSRコンサルタントの安藤光展と申します。

2013〜2014年のCSRトレンドを振り返りながら、2015年発行のCSR報告書の方向性を見つけていただければ幸いです。

国際統合報告-フレームワーク

国際統合報告 フレームワーク 日本語訳

日本語訳が、本家から登場しましたね。

僕は目下研究中ではあるのですが、「CSR報告書+IR報告書」が統合報告の大きな流れ(厳密には違うけど)なのですが、この資料を見ると、完全にIRよりになってますよね。

以前、「CSR報告書はIR報告書に取り込まれる」ということを書いたのですが、まさにそんな感じの方向に。

IR報告書は読者が明確だし、読んでもらって「読者にどんな行動を期待するのか」まで明確ですから、読者も意義もわかりにくいCSR報告書がが飲み込まれるのは時間の問題だったのかもしれません。

CSR関連の報告はきちんとしなければなりません。説明責任ってヤツです。でも、それをCSR報告書にまとめる必要性は小さくなっているのかもしれません。今の時代ウェブだけで完結できますし。

毎年、50〜500万円とかCSR報告書製作に予算をさくわけです。もちろん、企業担当者の人件費を入れると倍以上の支出でしょう。それで、意味が感じられないのであれば、色々統合もしたくなりますよね。実際。

何にせよ、CSR報告書関係者であれば、一度チェックしてみて下さい。

日本におけるサステナビリティ報告

日本におけるサステナビリティ報告2013

2013年12月の時点で日経225の構成銘柄となっている225社の日本企業を調査したレポートです。以下、レポートより、一部引用し、紹介させていただきます。詳しくは引用記事をご参照下さい。

・225社のうち210社(93%)がサステナビリティレポートを発行しており、前年に引き続き90%を超えている。

・サステナビリティ報告と財務報告とを一体化したアニュアルレポートを発行している企業の数は、2011年の14社、2012年の26社に対して、2013年は34社と着実に増加しており、サステナビリティ情報の開示を行う企業の16%がこの形態での開示を採用するに至っている。

・2013年も70%以上のレポート(148社)が、GRIのサステナビリティ・レポーティング・ガイドライン(GRIガイドライン)を利用している。

・報告内容の決定プロセスについて説明している企業のうち、73社が結果として特定された重要課題を開示しており、「重要性マップ」を活用して詳細に説明している企業も18社見られた。しかし、報告企業の65%が特定された重要な課題を開示していない。

・特定された重要な課題に関連付けて何らかの目標設定を行っている企業は、92社(44%)であった。

・報告企業の過半数が、マネジメント層の女性比率など人材の多様性に関する開示を行っていない。

ISO26000が発行され幾分か時間が経ちましたが、まだまだGRIが主流なんですね。まぁ、ISO26000はCSR報告書用のガイドラインではないですから、予想できたことではありますけど。

CSRもKPIが重要って散々言われているのに、未だ多くの企業は決めていない(本当?)とか。指標がないCSRって、ゴールがないマラソンでしょ?意味あるの?って素人の僕は思っちゃうんですけどねぇ。

昨今のCSRトレンドである「人材」領域。ブラック企業問題(労務問題)、ダイバーシティ、女性活用、パワハラ・セクハラ撲滅、ワークライフバランスなどです。

この領域は報告しにくいというのは、かなり共感できます。だって、多くの企業は対応できていないでしょ?そりゃ黙りたくもなるわ。本気で取組んでいる企業は本気でアピールしてますから、当然の結果かと。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

CSR報告書って、一度作ると、制作会社変えない限り、毎年同じようなもんですよね。数字だけちょこっといじっておわり、とか。

CSR報告書(統合報告書もかも)は会社案内ほど、人に見てもらえないと言われます。まぁ、そうでしょう。見て、何をしたらいいかわからないし。

そうじゃなくて、雑誌みたいに自社の話だけではなく関連する情報がまとめられて、ポップな形になれば、少なくとも今までよりは見てもらえるでしょう。実際そうするかというと、大企業の場合は特に路線変更は難しいでしょうけど。

結局どうしたいのか。それは僕が決めることでもなく、あなただけの考えで決めることでもなく、「読者にどんな価値提供をできるか」という顧客志向の考え方が必要なのだと僕は思います。

想定読者がいない冊子を作った所で、多くの人に読まれるとは到底思えません。あなただって、興味のない雑誌をわざわざ買わないでしょうし、興味ない資料をダウンロードして印刷したり、資料請求なんてしないでしょ?

CSR報告書の読者は誰か。その人はどこにいて、どうすればリーチできるのか。また、その人は普段何に興味をもち、どんなメディアに接点を持っているのか。

反論はあるかと思いますが、「弊社のCSR報告書はほとんど読まれません」と言っている製作担当者のあなた。それ、あなたの職務怠慢の結果ですからね。会社のお金使うなら、もっと本気出しましょうや。

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