持続できないサスティナビリティ

サスティナビリティって、日本語にしにくいCSR関連語の一つです。
「持続可能性」って訳されることが多いのですが、これがまた厄介ですよね。

で、「白い白鳥」のごとく、「持続できないサスティナビリティ」という問題がありまして、
いやはやこれも大きな社会問題になりつつあると思うのですが……。

というわけで、ハーバードビジネスレビュー2013年4月号が、
そんなサスティナビリティの話しだったので要点を僕なりにまとめました。

持続できないサスティナビリティにならないための3つのポイント

1、コミュニティ構築

「持続可能な未来へ」を書いた、ピーター・センゲは以下のように言ってます。

アーリー・デ・グースは1997年に上梓した名著「企業生命力」のなかで、創業から200年を超えてなお生き続ける企業を対象に、ロイヤル・ダッチ・シェルが手がけた1980年代初頭の研究を紹介しています。そのような企業に共通していたのは、会社はまず人間同士のコミュニティであり、金儲けは二の次である、という自己認識でした。
(ハーバードビジネスレビュー2013年4月号「迫りくる大きな現実を見つめよ」より)

そして、組織が本腰を入れて社会的課題に取組みには3つの課題克服が必要であるともしています。
その3つとは、「自分たちも自然や社会の一部であると理解すること」、
「接点のなかった相手と協力することを学ぶこと」、「サスティナビリティの捉え方」です。

僕は、特に環境問題については、「地球上すべての人が加害者であり、被害者である」と考えています。
そういった意識を持ち、今いるコミュニティの存在に気付けるかどうかが大切かと。

ほとんどの場合、コミュニティは構築せずとも存在はしており、
世間・ソーシャルグラフという部分でも理解はできると思います。

しかし、認識が行動を生むので、そもそもコミュニティに存在している、
という当たり前のことを、きちんと理解する必要があると考えています。

参照:世界にたった1人のヒーローなんていらない。CSR推進企業パタゴニア流の未来の描き方

2、最大の機会と最大のリスク

小手先の環境活動は、逆効果になることもあります。

例えば、オーガニックコットン使用について、中途半端な取組みばかりだと、
オーガニックコットンの環境へのプラス効果が帳消し、もしくはそれ以上の負荷となることも。

サプライチェーンも含めて、大小のイノベーションを駆使して取組み、
顧客のオーガニックコットン商品のニーズに応え、環境負荷低減をし、
新たな企業価値創造に取り組むべきだと考えます。

2000年代半ばには、香港のシャツメーカー「エスケル」が努力の末、
世界中でオーガニックコットンの需要が急増している時に、
頼りになる供給先を確保し、競争に打ち勝ったとのことです。

こういったサスティナビリティへの取組みは、最大のビジネス機会であると同時に、
中途半端さが生み出す、最大のリスクでもあります。

機会損失もして、コストも上がって……
なんてしていたらサスティナビリティなんて、夢のまた夢ですよね。

参照:企業のCSR活動における問題点を9個ピックアップしてみた

3、CSR部という問題点

CSR関連部門が存在するからこそ起きるCSRの問題もあります。

昨今はCSVなど、CSRを経営課題とし、企業全体、そして、
関係各社ともどもビジネスに邁進することを良しとする風潮があります。

それは素晴らしいのですが、CSRがあると逆に、
CSR関連の業務がCSR部に偏り、企業全体の課題と認識しにくい、
という問題があるそうです。

僕は、大手企業のCSR部にいたことはないので、
実感がしにくいのですが、各社担当の方のお話を聞くと、
とても大きな問題として存在するようです。

またCSR部が利用できる社内リソース(ヒト・予算)も限られており、
それで結果を出しなさいといわれても“無理ゲー”に等しいです。

それと、これもよくある話しなのですが、
大手企業とはいえ、企業単体で社会的課題を解決できるほど簡単なモノではありません。

例えば、リサイクルなどの場合、
企業単体では効率のよい回収・処理ができる数が集まらないでしょう。
また、1社だけで“規模の経済”を利用できることは稀でしょう。

そう考えると、他社のCSR部門と協力するとか、
場合によっては、同業の競合他社とのCSRプログラムの協業なども選択肢でしょう。

このCSR部の矛盾と乖離の問題はなかなか簡単に解決できないですが、
オリジナリティよりインパクトを選択できるならば、不可能な選択ではないでしょう。

参照:CSR部こそCSR以外のことにも目を向けるべき!?CSR部の問題点と未来の形

まとめ

いかがでしたでしょうか。

ハーバードビジネスレビューは僕の良く読むビジネス誌です。
海外や、経営学からみると、ハーバードビジネスレビューや、
マイケルポーター、ピータードラッカーなどの理論は時代遅れとも聞きます。

それはさておき、上記の3つのポイントも振り返りながら、
よりインパクトがあり、より効率のよいCSR活動の参考になれば幸いです。