企業寄付というトレンド

今回は先日、国税庁より発表された、「会社標本調査~税務統計から見た法人企業の実態~」より、株式会社など企業の寄附金総額の推計についてのお話。

平成22年度の標本法人数は、約115万社。前回の調査から、「e-Tax」の電子データ利用して大幅に増えたそうです。

ちなみに、僕は、CSRと寄付は特定の状況において、大きな矛盾をはらんでいると思ってます。実際のデータを見ながら、確認していきましょう。

最新:企業寄付動向

全国の企業が2011年度中の決算期で支出した寄付金は総額7168億円で、統計を取り始めた1962年度以降で最高だったことが30日までに、国税庁の調査で分かった。過去最高だった10年度(6957億円)を211億円上回った。東日本大震災の被災地に寄付金を送る動きが大きな要因とみられる。

被災地への企業の寄付を促すため、国や自治体向けの寄付のほか、中央共同募金会などを通じた義援金についても全額を損金に計上できる税務上の優遇策が震災後に拡大された。全体のうち優遇が認められた寄付金は2575億円で、前年度比4.7%増えた。
日経新聞3月30日より)

税優遇は企業にとって、非常に大きいと思います。

寄付税制改正に動き、実際に変えてくれた先輩達のアクションがあり、今の状況があると思うのですが、本当にすごいことだなぁ、と今更ながらに思ったりね。

あと、誰が見てもそうなのですが、東日本大震災関連の寄付がその大幅増加と言われています。

とても大きな、社会問題が発生した時、日本の企業は1500億以上の寄付を今までよりした、と。以下で詳細の解説をしますが、全般的なトレンドとなる形は見受けられませんが、全体としては、年々増加している傾向が見受けられます。

企業寄付

では、その前はどうだったのか。ちょっとデータを見てみましょう。

平成10年:4,938億円
平成11年:4,830億円
……
……
平成20年:4,940億円
平成21年:5,467億円
平成22年:6,957億円
H22年度、企業の寄付金約7000億円より)

企業寄付は税金控除も含めて、節税対策としてある。

これはアメリカなどは特にある、という話しを聞いたことがあります。それも大きく影響していることは間違いと思われます。

しかし、あなたの会社に寄付をしなさいと言っているわけではありません。CSRと寄付の関係は複雑で、僕は、「CSR活動となる寄付と、ならない寄付」があると考えています。

その差は何か。ずばり、「戦略性」でしょう。戦略的フィランソロピーというか。そもそも戦略性のない企業寄付はありえないと思いますけど。

情に流されて、とか、信頼できるNPOだからとか、自社の企業活動とは違う領域ばかりで判断が下されるのは、果たして戦略的と言えるのか?そこに、必然性はあるのか?

必然性のない寄付という企業活動を見て、第三者や株主、従業員はどう思うのでしょうか?

NPOのファンドレイザー(寄付の営業担当者)にも問題はあると思うのです。ファンドレイザーは素晴らしい職です。日本にもっと増えて欲しいと思ってます。

でも、目先だけの寄付金額獲得に動いて、企業への寄付アドバイスまでできているか疑問です。

企業への寄付に関するアドバイスは、ファンドレイザーとしては最低限のタスクだと思うのですが…。

フリー(特定の団体に所属しない人)のファンドレイザーも、NPO所属のファンドレイザーも、自分たちに寄付くれ、だけでなく、企業側のロジックを理解し、企業活動の助けになるような、寄付営業をしてもらいたいですね。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

寄付に関するくだりは、僕の持論ではありますが、そこまで間違っているとは思ってません。

あなたは、企業寄付についてどうお考えですか?もし時間があれば、ぜひ、まわりの方と意見交換してもらいたいです。

寄付税制が変わってからまだ間もないし、セオリーはあっても正解は一つではないからです。

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個人寄付や寄付全体について詳細を知りたい方は、日本ファンドレイジング協会の「寄付白書2012」をご覧下さい。

代表理事の鵜尾さんの講演を聞いたことがありますが、ファンドレイジングが起こすイノベーションのその先はとても興味深いです。