ISO26000がCSR/ESGウェブサイトの評価に使われる理由とは

CSRウェブコンテンツの評価

先日「SUSTAINA ESG AWARDS 2018」を発表したサステナの柴田さんの話を聞きにいったのですが、ついつい「CSRウェブコンテンツ談義」が盛り上がってしまいました。

結論からいいますと「CSR/ESGウェブコンテンツを充実させないとヤバイことになるよ」ということです。

最近では、統合報告書の発行も増えたし、CSR報告書発行企業数も微増してはいるようですが、とにかくCSRウェブサイト/ウェブコンテンツを充実させようという企業はあまり多くないです。ただ単に“やり方を知らない”だけだったりしますが。

というわけで、今後のCSR/ESGウェブサイトをどのように評価しているのかという評価側の視点と、評価対象企業の対策についてまとめます。

アワードの評価軸

「SUSTAINA ESG AWARDS」の興味深い点はなんといっても、いまさら「ISO26000を評価軸としている」ことが挙げられます。昨今は、GRIスタンダードやIIRCフレームワークの登場により、CSRの情報開示フレームワークとして、ISO26000の活用が減っているのですが、このアワードでは、いわゆるCSR活動全般について、ISO26000を軸に8カテゴリ200以上のインジケーターにもおよぶ評価項目があるそうです。

私は、この話を聞いて確信しました。やっぱり企業評価はISO26000だなと。どんなに海外のESG調査機関や情報プロバダーの評価フレームワークが幅を利かせても、結局は基本的なCSR活動に回帰するんだな、と。

IIRCフレームワークやGRIスタンダードが役に立たないといっているのではなくて、網羅的に企業のCSR/サステナビリティを評価するなら、それらだけでは足りないということです。GRIスタンダードはまだわかるのですが、その他の評価フレームワークや概念は、評価機関・専門家が欲しい情報であって、企業のステークホルダーのごく一部に過ぎないからです。

私は、IRやESGが専門ではないので、ISO26000を今でもコンサルティングで活用しているのですが、昨今のESG投資の流れで、オペレーションがないがしろになり、開示テクニックによっている企業が増えていることに危惧しています。本当にそれでいいの?と。

2020年代には、今はまだ見えていないCSR/ESGの企業評価フレームワークがでてくると思いますので、ISO26000以上に最先端の網羅性を含めたフレームワークに乗り換える可能性もありますが、今の私の考えでいいますとISO26000以外を軸にする意味がわかりません。当然、ISO26000の7つのテーマで開示しろといっているのではなく、活動の網羅性を担保するのにISO26000を使おうね、ということです。

我々の評価概念は

一方、我々の調査「CSRコンテンツ充実度ランキング2018」は、文字通りウェブコンテンツ評価です。先ほど紹介したサステナのアワードは、我々と違いウェブサイトそのものを評価しているのではなく、ウェブサイトの情報で総合的なESG評価を行なっています。

我々の調査コンセプトは「ステークホルダー・ファースト(ステークホルダー視点を重視したウェブコンテンツ評価)」です。ウェブコンテンツに訪問するのは多様なステークホルダーです。評価機関は間接的なステークホルダーとして、便宜上調査して格付けしますが、CSR活動としてのエンゲージメントを考えると、本来の想定読者は直接的なステークホルダーですので、このコンセプトにしています。まぁ、そもそもステークホルダー特定ができていない情報開示に意味があるのかよくわかりませんが…。

CSRウェブコンテンツの制作・運用で注意すべきでは以下の2点だけです。

・そのウェブコンテンツで「ステークホルダーの情報ニーズ」を満たせるのか
・そのウェブコンテンツで「ステークホルダー・エンゲージメント」を推進できるのか

その中でやはりISO26000の考え方は非常に参考になりますし、我々の評価項目の多くにも、ISO26000の考え方が反映されています。ISO26000の内容を網羅的に実践し開示できていれば、上位100社くらいには入れるレベルだと考えています。

コンテンツはどうあるべきか

では、企業はCSR/ESGスコアリング対応をどのように行うべきか。御社がどの進捗フェーズなのかわかりませんが、全体としては以下の3つのステップにわかれます。最後のステップに到達できれば、かなりな評価を獲得できるでしょう。

マテリアリティを網羅的に開示する

ステークホルダーの情報ニーズに適切に対応する

CSRに関わる情報を網羅的に適時開示する

身も蓋もない話で恐縮ですが、CSR評価が高い企業は、時間をかけて地道に様々なCSR活動をしているのです。アンケートや調査票回答は開示テクニックだけで評価スコアを上げられますが、ウェブコンテンツ情報は、開示の方法論というよりは「質の高いCSR活動を行い積極的な開示を行う」という実践と開示の両輪ではじめて評価される、というパターンのほうが多い気がします。

ウェブの評価が高い企業も、おおむねCSR活動を始めた時期が早いし、最近やっと本気になって結果が出始めた企業でも3年以上はかかっている例がほとんどです。1〜2年でサステナブルな企業であると社会に証明することは不可能です。もしできると考えていたら…まぁご自由にしてください。

ちなみに、サステナの評価も我々の評価も実践情報開示を重要視しているので、SDGsやGRIではなくISO26000をかなり使っているというスタイルであり、CSR先進企業の方すると最新じゃなくていいの?みたいなご意見はあるかもしれません。

これは私の考えですが、CSR関連では様々なイニシアティブやガイドラインがありますが、ISO26000ほど網羅的で活動に適しているフレームワークはないと感じています。世界の最新トレンドを追うがあまりに、足元が見えなくなるとマズイですよ、と。木を見て森を見ず。本当のトレンドは個々の最新事象ではなく、もっと大きな“うねり”ですのでご注意を。

まとめ

結論としては、もはやウェブでの情報開示に注力しない企業に存在価値はない(そもそも開示がなない価値を正当に評価できない)ということなのでしょうか。

ESG評価機関も調査する公開情報はまずウェブだし(コンテンツが“見にくい”と指摘を受ける企業が増えてます)、国内の大手CSR調査でも一部でウェブ情報を活用するようだし、サステナのようにESGスコアリングを完全にウェブのみで行うというところも出てきていますので。

少なくとも「ステークホルダーの役に立つCSRウェブサイト」であれば、サステナでも我々の調査でも、それなりの評価を獲得できるはずです。自分たちが言いたいこと(独り言)だけウェブ掲載して、アンケートや回投票だけ未公開情報を掲載することだけはやめましょう。

CSR報告書、統合報告書の制作で満足しているCSR/ESG担当のあなた。CSR/ESGウェブコンテンツのリニューアルの実施をお忘れではありませんか?大掛かりなことをする必要はありませんが、専門家の第三者コンテンツ評価くらいして、課題と解決案を確認しておきましょう。

>>SUSTAINA ESG AWARDS 2018
>>CSRコンテンツ充実度ランキング2018

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