環境コミュニケーション大賞

環境コミュニケーション大賞は、優れた環境報告書や環境活動レポートなどを表彰することにより、事業者などの環境経営および環境コミュニケーションへの取り組みを促進するとともに、環境情報開示の質の向上を図ることを目的とする表彰制度だそうです。

第20回環境コミュニケーション大賞の受賞作決定しました!受賞ロゴマークの発表も

環境活動は当然ながらコミュニケーションも重要だよねというメッセージが、現代以上に強い意味を持つことはないと感じています。そう。伝わらなきゃ誰にも評価してもらえないんやで。

ということで本記事では受賞企業を一部紹介しながら「環境報告」についてまとめたいと思います。昨年のまとめは以下の記事からどうぞ。

統合思考も進んできている!? 環境省「第19回環境コミュニケーション大賞」(2016)

環境コミュニケーション大賞

環境コミュニケーション大賞制定20回記念大賞(環境大臣賞)
大和ハウス工業

環境報告大賞
コニカミノルタ

持続可能性報告大賞
積水ハウス

地球温暖化対策報告大賞
SOMPOホールディングス

環境報告優秀賞
イオン、日立製作所、富士通

持続可能性報告優秀賞
味の素、東京海上ホールディングス

地球温暖化対策報告優秀賞
トヨタ自動車

生物多様性報告特別優秀賞
キリンホールディングス

信頼性報告特別優秀賞
クボタ

審査委員会特別優秀賞
住友林業、ブリヂストン

所感

今年も当然ながらCSR全般ではなく環境に強い企業が受賞しているようです。

このアワードだけではありませんが、CSR報告書関連のアワードって一時期より減ってきており、今でも続くものは貴重な存在となってきています。

ですので、特に製造業といわれる企業の担当者は、今回受賞した企業の環境関連レポートをすべて確認し、その情報開示方法を学ぶべきかと思います。

今年は14社中6社は「環境報告書」と冠が付くレポートで、残りの8社はサスティナブル・レポートやCSRレポートが受賞しています。昨年から「IIRC」や「GRI」の枠組みを参照したレポート(いわゆる統合報告書やCSR報告書)も積極的に表彰しており、それが見事に反映されています。ちなみに昨年は、13社中6社が「環境報告書」と冠が付くレポートでした。

受賞企業のレポートを読みましたが、ステークホルダー視点の評価はなさそうですね。“玄人好き”っぽい報告書も多く、BtoC企業のレポートとしてはちょっと難解なものもあるような気がします。質が良すぎる報告書の弊害みたいな。

過去の受賞企業との比較をしてみるとまた興味深い傾向がわかるのですが、今年も取引先企業が受賞しているため、そのあたりの話は割愛させていただきます。データは以下の環境省のリリースなどをご確認ください。

第19回環境コミュニケーション大賞(2016年発表)
第18回環境コミュニケーション大賞(2015年発表)
第17回環境コミュニケーション大賞(2014年発表)

まとめ

結局のところ、報告書の存在意義は「ステークホルダーの情報ニーズに応えられるか」だけだと私は考えています。官公庁や評価機関の評価が高くても、社会やステークホルダーに受け入れられる企業にはなりませんし、本来は環境活動もCSR活動もステークホルダーに評価されるために行うものです。

あなたも、毎年何件も、評価機関の評価が高いCSR推進企業の不祥事に関するニュースを見ているはずです。報告がどんなに優れていてどんに評価が高くても、また有名な社長が何を言っていたとしても、結局、現場で法令違反等をしていては話にならないのです。(身も蓋もなくてすみません…)

今回のアワードからテクニカルなものを学ぶとしても、CSR戦略の基礎となるマテリアリティやバウンダリーなどが定まっていないと、そもそも“イケてない”ものなってしまう気もします。難しいですね。今日も1日、現場でがんばりましょう。

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