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ISO26000(社会的責任に関する国際規格)が目指すCSRの未来

ISO26000

ISO26000の価値

最近は色んなガイドラインが出てますが、僕は「ISO26000」は、便利な規格だと思うんですけどね。

2010年、社会的責任の国際規格「ISO26000」が発表されました。ISO26000は、「環境、消費者課題、コミュニティ参画、人権、労働慣行、公正な事業慣行、組織統治」という7つの主題に、それぞれ細分化された合計37の課題、そしてその37の課題を更に具体的な事例にした250を超えるチェック項目があります。

で社会的責任は「ステークホルダーの特定およびステークホルダー・エンゲージメントは、組織の社会的責任の取り組みの中心である」としています。

また、ステークホルダーの特定とは「組織は自らの影響を理解しそれへの対処方法を理解できるように、自らの決定および活動に利害関係をもつのは誰かを特定すべきである」で、ステークホルダー・エンゲージメントとは「多様なステークホルダーとの対話を通じてその関心事項を理解し、企業活動や意思決定に反映する、マネジメント手法」とされています。

今風な言い回しにすると「バウンダリ」と「マテリアリティ」と言い換えることもできます。そんなこと知っているよ、という方も多いと思いますが、第三者として言わせていただきますが、実践できない企業は多いですよ。単純にCSR担当者の理解と行動が追いついていないからだと思います。

というわけで、今一度ISO26000について振り返ってみましょう。

ISO26000の範囲

ISO26000の範囲は「ISO26000:3.3.1社会的責任の特徴」では、「社会的責任は、法令順守を超えた行動および法的拘束力のない他者に対する義務の認識も必要とする。これらの義務は、広く共有される倫理、その他の価値観から発生する。」とされており、狭義のコンプライアンス(法令順守)だけではなく、広義の社会的ニーズを含めた対応をコンプライアンスとして企業に求めています。近年、CSRの意味範疇は拡大するばかりで、CSRを“経営姿勢そのもの”と表現する人も増えています。

CSRのガイドラインで2016年にあった大きな変化としては、SDGs(持続可能な開発目標)が施行されたことであることは誰もが知る所です。しかし、まぁ、欧米を中心にまとめられている様々なCSR関連ガイドラインには派閥があります。(良い悪いはここでは言及しません)

海外のCSR動向に詳しい人たちは「GRI」が一番といい、NPO/NGO系、国連に造詣が深い人たちは「SDGs」を企業経営の中心にしろというし、汎用性に長けた「ISO26000」がチェックリストとしても有能だというコンサルタントたちも多いし…。

CSR担当者の多くはこう思うはずです。「で、どのガイドラインに従えばいいのですか?」と。で僕はこう答えます「わかりません!」と(苦笑)。

つまり、一長一短というか、目指している世界観が異なる(場合が多い)ガイドラインに関して、素人が議論してもしょうがないと思うのです。それで何かが変わるわけではないですし。そうなると、必要になってくる視点としては、「どんな時に、どんな目的で、何を目指すために、どのガイドラインを参照するのか」というロジックです。

このあたりの話は、CSRコンサルティング会社の方であれば誰でも当然のように解説できる(?)と思いますので、ご依頼されているコンサルティング会社の担当者の方に質問してみてください。ちなみに以下はISO26000とSDGsの差について、本家ISOが書いたニュース記事です。お時間があればどうぞ。

ISO 26000 in the post-2015 development agenda(英語)

社会的責任のメリットとデメリット

ISO26000の意義という意味では、ISO26000が示すCSR活動推進のメリットを知ることが重要です。実は明確にまとめていますので紹介します。

・社会の期待、社会的責任に関連する機会(法的リスクのより良い管理を含む)、社会的責任を果たさないことのリスクに対する理解の向上によって、より情報に基づいた意識決定を促進する
・その組織のリスクマネジメント慣行を向上させる
・その組織の評価を上げ、社会的な信頼を促進させる
・組織が活動する上での社会的な認可を支える
・技術革新を引き起こす
・資金へのアクセスおよび好ましいパートナーの地位を含む、その組織の競争力を高める
・その組織のステークホルダーとの関係を強化することによって、その組織は新しい視点を経験し、様々なステークホルダーと接触することができる。
・従業員の忠誠心、関与、参画および士気を高める
・女性労働者おおび男性労働者の安全衛生を向上させる
・その組織の新規採用の能力およびその組織の従業員の意欲を高め、勤続を奨励する能力にプラスの影響を与える
・生産性および資源効率を向上し、エネルギーおよび水の消費を減らし、廃棄物を減らし、価値のある副産物を回収することによって、節約を行なう
・責任ある政治的関与、公正な競争、および汚職をしないことによって、取引の信頼性および公正性を高める
・製品またはサービスに関する消費者との紛争の可能性を予防し、減少させる

また「ISO/SR国内委員会」のウェブサイトには、「やさしい社会的責任-ISO26000と中小企業の実例」という資料もあるので、こちらも合わせて確認するとよいでしょう。

ISO26000に関する書籍

「ISO26000」の現行バージョンは2010年の規格でありますがいうほど古くさいものではありません。関連書籍も今はいくつか出ていますので、こちらも興味がある人はチェックしてみてください。

まとめ

ISO26000だけではありませんが、CSRのガイドラインはうまく使えば非常にCSR活動に有用なツールとなります。

問題は「どうやってガイドラインと具体的なCSR活動をリンクさせられるか」でしょうか。すべての企業に通じる唯一無二な方法はないものの、どの場面にどのガイドラインを使うかという視点は必要だと思います。

どうやって活用いただいても僕がどうこういう話でもないので、勝手にしていただければと思いますが、少なくとも参照・準拠したら2〜3年は同じガイドラインを採用したほうが良いということだけは言えます。毎年、メインとなる参照ガイドラインを変えるのは、ダメ、絶対。

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執筆者:安藤 光展[→プロフィール詳細]