crsv

CRSV議論はすでに終わった?

先日、中小企業庁より「中小企業白書」(2016年版)が発表されましたのでシェアします。

中小企業白書(2016年版)

なぜ、僕が「中小企業白書」の紹介をするのかというと、以前の中小企業白書には結構なページでCSR・ソーシャルビジネス的な解説がされておりまして、中小企業の担当者の方には参考になるかなと。

しかーし、今年の中小企業白書には「CRSV」の記述がなかったように思いますが、僕が見逃しているだけなのでしょうか……?

中小企業白書とCSR

中小企業白書(2014年版、P439-448)において、中小企業・小規模事業者が、地域課題の解決に自らの事業として取り組み、持続的な事業活動を行うことを「CRSV」(Creating and Realizing Shared Value)という概念で説明してます。

CRSVとは、「地域に根ざした中小企業・小規模事業者でなければ解決困難な地域課題解決への取組であると同時に、その取組により、地域課題を解決する中小企業・小規模事業者、その地域課題解決の恩恵を受ける地域住民が互いに支え合うことにより生まれる好循環に向けた取組」と定義されています。よくわからん。少なくとも国際的なCSRやCSVの概念とは離れすぎていて、近い単語を使っているから余計に。

以前の中小企業白書では、「CRSV」というCSRでもCSVでもないという「CRSV」という中小企業庁の“オリジナルな”概念を使い、戦略的なCSRに取り組むように促がしたのだけど…?官公庁のオリジナル・フレームワークはまったく理解されず終わってしまったようです。CSRを地域活性化限定の理論として落とし込んだのは失敗でしたね。

参考までにこんな理論体系になっています。

CRSV
http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H27/PDF/chusho/07Hakusyo_part3_chap1_web.pdf#page=48

CSVもそうだけど、CSRではない新しいメソッドを持ち込みたいのはわかりますが、こうなることは誰もが予想できたことだけに、ちょっと残念ですね。ポーター教授とCSV推進派閥を敵にまわしたのが失敗でしたね。僕は特定派閥に属してないので、特にどうも思いませんでしたが。

その他の参考資料、参考記事

中小企業のCSRというか、ソーシャルビジネス的な事例をたくさんまとめた資料も中小企業庁は作っています。この手の話に興味がある方は超面白い資料となっています。

・中小企業庁「地域活性化100」(2015、PDF)
・中小企業庁「地域課題を解決する中小企業・NPO法人 100の取組み」(2016、PDF)
・商工総合研究所|中小企業の社会的責任(CSR)に関する調査(PDF)
・商工総合研究所|中小企業と地域貢献(PDF)
・商工総合研究所|「企業の社会的責任(CSR)」に関する研究 -中小企業への適用についての考察-

経済性、リスク、女性–中小企業のCSRにおける3つのポイント
中小企業のCSR/CSVのコンセプトと実践事例400社
CSV経営戦略事例と中小企業4事例

まとめ

というわけで“揚げ足取り”をしてばかりでもしょうがないので、中小企業の方は前述の資料を参考にしてみてください。

ただ、中小企業とはいえ、あまりローカルなCSRルールばかりを推進してもしょうがないので「やさしい社会的責任-ISO 26000と中小企業の実例」などを参考にして、ある程度体系的なCSRの理解と実践をしましょう!