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環境省「環境にやさしい企業行動調査」(2016)

環境CSR

“やさしい”って何が?

先日、環境省から「環境にやさしい企業行動調査」(2016)が発表されていましたので共有します。

この調査は環境活動全般の話からちょっと突っ込んだ話や、環境報告に関する項目などがあります。

本調査は、我が国の企業において環境に配慮した行動が定着し、環境保全に向けた取組が効果的に進められるよう、その実態を的確かつ継続的に把握し、これを評価し、その成果を普及させていくことを目的として実施した。

上記は調査の目的です。素晴らしい取組み意義ですが、時を経て、その意義が目減りしているように見えました。つまり、回答企業が固定化されてしまい、数字の変化がほとんどなくなっていしまったということです。さてどうしたものか。

しかし、興味深い調査であることは変わりません。ちなみに、環境報告書の調査もあるので、環境部門の方だけではなくCSR担当者もきちんと確認しておきましょう。

概要

1、環境マネジメントシステムの認証について
ISO14001等の認証する環境マネジメントシステムの構築・運用状況は、全体で57.6%。

2、取引先との関係について
グリーン購入の実施状況は「実施している」が上場企業で76.7%、非上場企業で54.1%、全体で60.9%。

3、環境に関する情報開示等について
環境に関するデータ等の情報公表については「環境報告書を作成・公表している」が全体で52.4%。

4、環境ビジネスについて
環境ビジネスの取組状況については、環境ビジネスを「行っている」が上場企業で50.8%。

資料には上記が特徴として紹介されています。少なくともまったく活動をしていない〇〇な上場企業・大手企業は回答していないだろうし、調査に回答している企業の中でという数字だということを考慮する必要がありそうです。それでこの数字なので、いまだほとんどの企業は、ガチな環境対応ができていないとみるのが定石でしょう。

レベルの差はあると思うけど、グリーン購入実施企業は全体60%というのが気になりますね。サプライヤー絡みの環境活動は重要なポイントなのに、していない40%は何を考えているのでしょうか。リスク管理とか、サプライチェーン・マネジメントの意識が足りないか、“安ければ何でもいい”という「加担」の概念を知らない企業なのでしょう。

調査項目

ちなみに調査項目は、(1) 環境配慮経営の推進状況等について、(2) 環境マネジメントシステムの認証について、(3) 取引先との関係について、(4) 事業活動に係るライフサイクルにおける環境取組について、(5) 環境に関する情報開示等について、(6) 環境ビジネスについて、(7) 地球温暖化防止対策について、(8) 環境会計について、の8つとなっています。

これらの項目の一部を独断と偏見でピックアップし紹介します。

環境経営について

環境に配慮した取組と企業活動における位置付けについては、「社会的責任」と回答した企業が最も多く64.9%を占めている。

環境CSR

環境課題に対応する上で重要な項目については、「ステークホルダーへの対応」と回答した企業が最も多く、53.7%となっている。次いで、「環境と経営の戦略的統合」が51.8%、「経営責任者のリーダーシップ」が44.7%、「組織体制とガバナンスの強化」が 42.9%となっている。

環境CSR

環境報告について

取組等の情報開示状況については、「一般に開示」と回答した企業が47.2%と最も多くなっている。一方で、 「開示していない」と回答した企 業は42.3%となっており、平成25 年度と比較すると3.1 ポイント多くなっている。

環境CSR

環境報告書の作成に参考としたガイドライン等については、「環境報告ガイドライン」と回答した企業が66.2%と最も多く、全体の6割となっている。次いで、「他社の環境報告書」が37.8%、「GRI サステナビリティ・レポーティング・ ガイドライン」が32.6%となっている。

環境CSR

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まとめ

環境活動はやって当たり前。上場企業や大手企業はこんなフェーズに入ったのかもしれません。それと同時に、やや矛盾する部分もありますが“環境活動の頭打ち”感が顕著になってきているように見えます。

つまり、CSRも環境対応もちゃんとやっている企業は、日本で数百社程度で、全上場企業でも3,000社程度は“あまりやってない”ということです。しかも来年も多分やらないです。法人が何百万社もあって、数百社しか本気でやっていないという現実は、支援する人間としてさみしい所がありますが、法的対応も含めて、何かが大きく変わらないとこの手の調査課題はいつまでたっても解決しないでしょうね。

ただ、ゼロベースで考えると、本気で対応しなくても別にビジネスはまわっているということで、その必要性を改めて考える必要はありそうです。日本の上場企業・大手企業がこの程度のレベルなのは、強制しないとやってくれないのか、それとも業界団体などが自浄作用を発揮し、環境活動の推進に拍車をかけることができるのか。

ここ数年続く悩ましい傾向は、今後も、しばらくは続きそうです。

環境にやさしい企業行動調査



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執筆者:安藤 光展[→プロフィール詳細]