経済性、リスク、女性–中小企業のCSRにおける3つのポイント

中小企業CSR

中小企業のCSR

CSRは「リスク&オポチュニティ」(課題と機会)と言われますが、この考え方自体には大企業も中小企業も関係ありません。

またドメスティックな中小企業であっても、国際ガイドラインに従わなくて良いとはなりません。もちろん、対応手法が大企業・上場企業と同じである必要はまったくありません。

今回は、中小企業らしいCSRとは何か、というヒントにしていただきたく、3つの視点を提供したいと思います。

1、ソーシャルビジネス

中小企業庁は「ソーシャルビジネス」や「コミュニティビジネス」を結構プッシュしています。BtoCの非製造業の中小企業は特に検討してもよいかもしれません。

中小企業には、大企業以上にCSRで“強み”を表現する必要があると思います。ステークホルダーも求めている所はそこだと思いますけど。僕も最近は「中小企業のCSRこそ、ソーシャルビジネスを」と考えています。

地域活性化100(PDF)
地域課題を解決する中小企業・NPO100の取組(PDF)

去年、中小企業庁は上記の資料を発表しました。ぜひ一度目を通してみて下さい。中小企業らしい、また、御社らしいソーシャルビジネスの形が見えてくると思います。

中小企業庁|中小企業白書
中小企業庁|地域の課題をビジネスの手法で解決する「地域課題解決ビジネス」に取り組む事業者のための事業計画書作成の手引きと、その事業者の支援に取り組む金融機関のための事業評価の手引きを策定

2、リスクマネジメント

ソーシャルビジネスという視点もありますよ!と言っておきながら恐縮ですが、CSR活動では1,000万円の利益を出すこと(ソーシャルビジネス)より、1,000万円の損失を未然に防ぐこと(リスクマネジメント)のほうが簡単です。これは製造業では特に顕著です。

ISO26000などのCSRフレームワークはリスク発見の仕組みとしても機能します。中小企業経営者のリスク認識は甘いことが多いため“リスクマネジメントは儲かる”という意識をもって取り組むことが重要です。リスクマネジメント対応の多くはCSR活動であるので、堅実な経営を社内外にアピールするのにも有効でしょう。

リスク対応は、社会(ステークホルダー)の要請(ニーズ)でもあります。適切に対応し、確実なCSR活動としましょう。

中小企業庁|「中小企業のための海外リスクマネジメントガイドブック」をとりまとめました(2016)
経済産業省|中小企業のリスクマネジメントに関する調査に係る委託事業(2012年、PDF)

3、ホワイト企業

3つ目の視点として、中小企業が目指す場所として「ホワイト企業」があります。

世の中には「中小企業が残業ゼロや福利厚生充実をさせたら潰れる」と平気で口にする経営者も実際います。気持ちはわかりますし、そういう側面があることは知っています。しかしそれを口にしたら言い訳です。残業ゼロでもまわる“仕組み”を作ること、従業員への配慮を行なうことを忘れてしまっては、それは経営者の職務怠慢と言われても仕方がありません。

残業がなければまわらないのは作業効率が悪いからです。また、福利厚生はただの手段であり仮に充実していなくても、従業員の会社への理解があれば従業員満足度は高いまま維持できるでしょう。

では、中小企業が「ホワイト企業」になるには何ができればいいのか。その1つは間違いなく「女性活躍推進」だと思います。女性の労働環境が充実・適切な中小企業は、男性も働きやすい環境であると想像できます。2016年4月1日からは「女性活躍推進法」が施行されまして、中小企業は努力義務とはいえ、対応を求められるようになりました。この社会の流れに乗りましょう、ということもあります。

東京商工会議所と日本商工会議所が共同で、中小企業の現場で女性の活躍を推進するための具体的な取組みをわかりやすく解説した小冊子「中小企業のための女性活躍推進ハンドブック」を作っています。中小企業庁「人権啓発支援事業に係るパンフレット」なども参考になります。

よく、『大企業でないとダイバーシティや女性活躍なんてできない』という声を中小企業の方からうかがいます。でも本当は、中小企業のほうがトップダウンをしやすく、経営者の意識が高ければ実現しやすいのだということを(KMは)示している。全国の中小企業のモデルになるのではないかと思います
これぞ女性活躍推進! 「ガテン系女子」が躍動する中小企業

たとえば、僕は上記の記事の主張に賛成です。実は、大企業・上場企業の多くは社内外のステークホルダーが増えすぎて、CSR活動をするのにも一苦労です。予算や人がいればCSR活動ができる、というのは中小企業の方の偏見なのかも。逆に中小企業はトップと現場が近く、トップの意識決定が現場に伝わりやすく、大企業以上に動けるはずなのです。

まとめ

すべてのCSR課題に対して対応し、国際的なCSRガイドラインに対して網羅的に開示する、というのはリソース上、中小企業には不可能です。(厳密には予算も人員もなくても対応できるんだけどね)

逆に中小企業だからできる小回りのきいたCSR活動とかすればいいと思うんです。上場してないから株主・投資家を意識しなくていいし、従業員も数十人から百人くらいの規模が多いと思いますし、人に対するCSR活動は逆に中小企業にとってアドバンテージとなるのでしょう。

CSR活動は企業規模を問わず「企業価値向上」を目的とする事業活動です。できる所から始めていきましょう。

本記事では「ソーシャルビジネス」、「リスクマネジメント」、「ホワイト企業」という3つの視点をまとめました。他にも重要なポイントはありますが、それはまた別の記事で解説したいと思います。以下の過去にまとめた記事も参考までにどうぞ。

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