グローバル・水・動物–CSRのリスクマネジメントを学ぶ3事例

リスクマネジメント

CSRとリスクマネジメント

CSRってね、リスクマネジメントの要素が強いんですよ。

「CSRって儲かるんですか?」、「CSRのメリットは何ですか?」なんて質問をもらうこともありますが、CSRは儲かりますし、メリットもあります。(すべてはやり方次第ですが)

今回のリスクマネジメントの視点でいえば、リスクを軽減することで経済損失を最小限に抑えられます(最大値では倒産が防げる)。で、それらの活動(リスクヘッジ)そのものがメリットになります。

そもそも、CSRの考え方はリスクマネジメントの要素が強く、セールス(営業)でもプロモーション(販促)でもないので「儲かるのか?」という質問自体がナンセンスなのですが、将来、会社を倒産させてしまうような重大なリスクに対してアクションをしたくないということでしたら、どうぞご自由にしてくださいませ。

普通の企業は、ゴーイングコンサーンでサスティナブルなマネジメントを通じリスクをヘッジして、マテリアリティとバウンダリーでセグメントされたアクションをドゥすることが、必要です!!

本記事ではCSRに関連するリスクマネジメントに関してまとめます。

CSRのリスクマネジメントを学ぶ3事例

1、グローバルリスクとビジネス

グローバルリスク報告書2016年版:エグゼクティブサマリー(PDF、日本語)

世界経済フォーラムが1月に最新版の「グローバルリスク報告書」を発表しました。サマリーだけは日本語になっているので、チェックしてみてください。

グローバルリスク報告書とは、これからの10年間にグローバルリスクがどのように展開し、相互に作用していくかについてまとめてあるレポートです。グローバルリスクの定義は、今後10年間において、発生した場合には複数の国や産業に多大な悪影響を及ぼす可能性のある、不確実な事象または状況のこと、としています。

影響の大きなリスクの上位5位以内に過去3年にわたって入っていた気候変動の緩和・適応の失敗が、2位の大量破壊兵器、3位の水危機を抑えて1位に上昇し、2016年、今後最も影響力を持つリスクであると認識されている。大規模な非自発的移住、および極端なエネルギー価格の変動 (高騰または下落)も影響力の上位5位に数えられている。
発生可能性が最も高いのは大規模な非自発的移住のリスクである。前年トップの地域的影響を伴う国家間紛争は、環境リスクである極端な気象および気候変動の緩和・適応の失敗よりも順位を下げ、その後に重大な自然災害が続く。

という流れだそうな。ビジネスレベルのリスクは『世界レベルでは、失業・不完全就業およびエネルギー価格の極端な変動という2つの経済的リスクが、140の経済国のうち半数においてビジネス上懸念されるリスクのトップに挙げられている。国家統治の失敗、財政危機、資産バブルおよびサイバー攻撃がこの2つに続く。』とのこと。

詳細は英語版になりますが、参考までにどうぞ。このあたりを知っておかないと、いざリスクが自社のサプライチェーンに著しい影響を与えた時に大損害がでますよっと。

Global Risks Report 2016|WEF

2、水というリスク

Tシャツ1枚に2,900リットル。皮革1kgに1万7,000リットル。一見水とは関係ないように思われるプロダクツでも製造過程では大量の水を使う。なかでも食品・飲料関係はサプライヤーの水使用量が多い。ファストフード店でのコーヒー1杯は約126mlだが、原料である豆の栽培には水132リットルが使われる。
ハンバーガーひとつつくるにも、バンズをつくるには小麦を育てなくてならないし、牛を育てるにも大量の水を使う。牛が飲む水以外に、飼料を育てるにも水を使うからだ。その総計はハンバーガーひとつに対して2,400リットルという途方もない量になる。
企業成長の鍵を握る「水リスク」対策

モノを作る、そして、海外が日本に輸入する、となれば、製品と一緒に“水”を輸入していることにもなるのです。極端な話、様々な経済活動の根源は水である、とも言えます。なのに日本企業はサプライチェーンに関して、水リスクの認識と対策が足りてないんじゃない?という記事。僕も同感です。

水リスクに関しては「CSRのリスク対応として把握すべき水問題7事例」という記事で詳しくまとめています。

3、動物への影響

2016年3月17日、シーワールドはTwitterで「速報:現在飼育しているシャチがシーワールドで飼育する最後のシャチたちになります」とツイートした。実はシーワールドは何年も前から動物愛護団体と対立しており、結局、彼らの主張を受け入れる形となった。この話題は水族館や動物園で飼育されている動物の扱いにまで議論が拡大し、さまざまな反応が湧き上がっている。
米国水族館の「シャチのショー廃止」を日本企業が注目すべき理由

動物をビジネスに使っている企業は、そのビジネスモデル自体が大きなリスクをはらんでいることを認識すべきなのでしょう。ペットショップも色々と動物愛護団体から叩かれていますが、日本の動物園・水族館もいずれは叩かれる状況になるかもしれません。

そして記事では、動物愛護の観点から、『メルセデス・ベンツは動物愛護団体の批判によって、一部モデルでシートに革を使うのを止めると発表。IKEAは店内のレストランで動物関連食品を使わないミートボールを提供することになった。大手アパレルのラルフローレンやアバクロンビー&フィッチ、H&Mなどは毛皮商品の扱いを中止し、GAPや、アディダスやプーマなどほとんどの大手アパレル企業が、動物愛護活動によってアンゴラウサギの毛の商品を発売停止にしている。』と企業の対応事例を紹介しています。

しかし、そうなると衣食住の全ては菜食主義的になり、オーガニックのみがOKみたいな世界になってしまうのでしょうか…?なんにせよ、企業は特に問題ないと思われる通常の事業活動の中にも大きなリスクをはらんでいる、ということを認識する必要があります。引用記事では他にも企業事例があるので、興味がある人はチェックしてみてください。

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まとめ

CSR活動による直接的な売上を上げるより、CSR活動による直接的なリスクヘッジのほうが経済的・社会的インパクトは大きいです。

CSRの枠組みをうまく利用しリスクを顕在化させ、変化に強いガバナンスの効いた組織を作っていきましょう。今の時代、「CSRのメリットって何?」という質問をしている時点で……おっとこれ以上はいいません。

問題が起きて数十億〜数千億円の損失を出す前に、数十万〜数千万円でもコストをかけて対応していきましょう!



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