企業がCSRですべきロビーイング活動

今回の読書メモは「ロビイング入門 社会を変える技術」(明智カイト、光文社新書)です。明智さん、献本ありがとうございます。

さて、本書は日本のソーシャルセクターのトップランナーがどのようにロビーイングをしているかという、テクニカル面の解説をしています。

「非価格競争力」。これは読んで字のごとく、価格(商品・サービスの価値)以外での競争力のこと。まさにCSRやブランド力などのことです。ここに今後加わってくるのが「ロビーイング」(ロビイング活動)なんじゃないかと。

欧米の決めた各種CSRガイドラインも重要だけど、企業は国や自治体に対してもっと本気で関わっていく必要があります。特に日本企業はこのロビーイングやルール作りが弱いというのはよく言われる所。

これは公共利益のための働きかけであり、私利私欲のための政治家への働きかけではありません。もちろん、企業のロビーイング活動は自治体や政治家だけへの働きかけだけではありません。NPO/NGOや消費者などのステークホルダー巻き込んだアクションが求められます。CSR的には「コミュニティ参画」が非常に近い概念です。

本書や、最近の日本の本家ソーシャルセクターのロビーイングを見ていると、やはり「メディア力」が必要なんですよね。“草の根”アクションは本質的なものの、運動として広がらなければ意味がありません。これは企業のCSRコミュニケーションも同じで、広告を含めたメディア戦略が重要になります。

逆に本書で解説されているように、メディア側の“アドボカシー責任”というか、バズを狙うだけのコンテンツではなく、より社会的意義のあるコンテンツを作りましょうよ、という話も興味がある所です。「Yahoo!ニュース」や「スマートニュース」は、このあたりを本気で考え実践しており、個人的に共感しています。(僕の記事が配信されているけど、ステマじゃないよ)

僕はこれらを「イシュー・マーケティング」とよんでいるのですが、社会課題をビジネスの力で解決させていくことって、十分、競争優位を作れると思うんです。BtoC系では、特に顕著かと思います。ビジネスに倫理を超えた公共性を担保するのは大変だとおもいますが、できなくはないです。

ではその拡散できうるCSRコンテンツはどうやって作るのか?ですよね。それはまたどこかのタイミングでブログにまとめたいと思います。もしくは色々考えている企業がいれば、直接相談にのります。

CSR担当者はもちろん、広報や経営企画なんかの方にもオススメの本かと思いました。

誰でもできるロビイング入門

本書でいう「ロビイング」とは、業界団体が「もっと金よこせ」と言って政治家に圧力をかけることではない。日本ではあまり行われてこなかった、弱者やマイノリティを守るために政治に働きかけることである。圧力団体が行うロビイングとは目的が全く異なるので、「草の根ロビイング」という名称も使用する。
ロビイングはそれぞれテーマや、人によってやり方が異なるため、これまでマニュアルというものは存在しなかった。そこで、本書では暗黙の了解となっていたロビイングのルールと、様々な立場からロビイングに関わってきた方たちのテクニックを紹介していきたい。