女性活躍推進

女性活躍推進のエビデンス

「女性活躍推進法」が制定され、日本企業の女性に対するアプローチが必須となったのは記憶に新しい所。

しかし法制化によって「役職者増やせばいいんでしょ?」とか、なんか本質的ではない話がメインになりそうな、嫌な予感がしてなりません。

というわけで、本記事では「女性役職者」に関するレポートなどをまとめます。この記事を読んでいるCSR担当の方は、ぜひ人事系の方にもシェアしておいてください。

女性役職に関するレポート事例

「人を活かす会社」調査

日本経済新聞社は4日、社員の働く意欲を引き出している企業を評価する2015年の「人を活(い)かす会社」調査をまとめた。女性管理職の登用が進み、女性執行役員がいる企業は23.1%と14年から6.9ポイント上昇した。大企業に女性活躍の数値目標などを義務付ける女性活躍推進法が8月に成立するなど、男女とも有能な人材を活用する機運が広がっている。
部課長への女性登用も浸透してきた。女性部長がいる会社は62.9%、女性課長がいる会社は89.5%でそれぞれ14年から3.9ポイント、0.4ポイント上昇した。ただ、部長全体に占める女性比率は2.9%にとどまる。大企業の管理職世代に当たる女性が入社した1990年代は一般職採用が多く、人材の層が薄いとの声がある。
「女性執行役員いる」23% 「人を活かす会社」調査

女性活躍、株式市場

女性が活躍する企業の株価が好調だ。東京証券取引所に上場する企業の中で、女性役員の比率が1割を超える57社の株価上昇率は昨年末比で22%(10月末時点)に達し、東証株価指数(TOPIX)の上昇率(11%)を大幅に上回った。9%だった日経平均株価も上回る。三井住友アセットマネジメントの葛原健吾シニアファンドマネージャーは「多くの女性がマネジメントに関わること自体が必ずしも直接業績に影響するとはいえない」としつつも、「女性が活躍する企業は幅広い観点から、柔軟な経営が可能になり、潜在的に高い利益成長が見込める」と指摘する。
「かわいこぶってちゃだめ」 女性活躍、株式市場でも

この記事はレポートではないものの、まとまった良いものでした。(日経新聞・有料記事)

記事では、化粧品大手シーボン社長の金子靖代氏、ANAホールディングスの執行役員・山本ひとみ氏、大和証券グループ本社の執行役員・白川香名氏、日本生命保険の人事育成部門担当役員・山内千鶴氏などの事例が紹介されています。いわゆる大手企業では様々な方の事例があるんですね。

アメリカ大企業の女性幹部数

大企業の幹部層では、女性はまだ少ないのが現状だ。企業の総収入に基づいてトップ500社をランク付けした「フォーチュン500」に入る企業で、CEOの女性はわずか23人だ。これは全体の5%にも届かない。
また、役員に占める女性の割合も低い。女性のキャリア推進に取り組むNPO「カタリスト」によれば、アメリカの証券取引所に上場している代表的な500社「S&P500」に入る企業の役員のうち、女性の割合は20%にも満たないという。
ナスダックに上場している非金融業のうち時価総額が上位100社に入る「ナスダック100指数」の女性役員の数を調べた。その結果、ナスダック100指数に入る企業のうち、37社では役員に女性が1人しか含まれていなかった。
アメリカの大企業には女性幹部がほとんどいない(調査結果)

勝手なイメージで、日本よりアメリカの方が進んでいる感じでしたか、日本ほどではないにしろ、進んでいるというわけでもないらしいです。

GENDER格差

こうした中で、Intelは2020年までに、自社内のDiversityの課題解決のために、マイノリティの就労比率改善(24%の女性比率を米国就労女性比率の47%に、ヒスパニックとアフリカ系アメリカ人比率も12%を26%に引き上げる)に、3億ドルを使うと宣言した。また6/8、Intelは、シリコンバレーのカルチャーにチャレンジするかのように、女性とマイノリティによるテクノロジースタートアップのための投資ファンドとして1億2500万ドルを供出することを発表した。
テックワールドにおける「GENDER格差」とは?

大手企業の女性活躍推進だけではなく、スタートアップの女性活用も進める動きもあるらしいです。これは興味深い。いや、性別差を持たずそうあるべきなのですが…。

女性登用に対する企業の意識調査

女性管理職がいない企業は50.9%と半数にのぼり、女性管理職の割合は平均6.4%にとどまる。一方、従業員全体の女性割合は平均24.2%、役員は平均8.4%。女性管理職の割合は、小規模企業や『不動産』のほか割合の低い業界で、上昇傾向にある
女性登用に対する企業の意識調査

帝国データバンクの調査ですが、回答企業(1万1,008社)の中で「ゼロ」がぴったり半分…。全業種に上昇傾向はあるとはいえ…。これが現実ということですね。

その他には、以下の記事も興味深いデータがありますので、気になる方はチェックしてみてください。

女性活躍推進法に基づく「事業主行動計画」策定等についての取り組みガイドライン(PDF)
女性活用ベタの会社が、「お先真っ暗」な理由 管理職に「時間的制約」は、本当にNGなのか
女性活躍と企業業績の関係―先行研究及び韓国の積極的雇用改善措置の検討や女性活躍と企業成果への決定要因分析―
女性管理職の意識・実態調査2015 ~管理職になって後悔した女性管理職はわずか9%。管理職候補者に対して「気負わず挑戦するべき」と7割以上が回答。~

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まとめ

女性の役職者が増えると、企業価値向上につながる。これはどうやら相関関係はありそうですが、価値向上のため“だけ”に、女性を利用すればいいのかというと、またそれも違うわけで。

僕は、ステークホルダーエンゲージメントには、ステークホルダーとの直接的な対話が必要だと考えています。ですので、社内外の女性のヒアリングをしっかりしながら、「女性活躍推進法」の行動計画開示もありますし、様々な人事戦略を立てられればベストですね。

ただし、メディアで取り上げられるくらいの超人的な人は、日本に何人かしかいないのでそれをロールモデルにするのは……ほどほどに。